B2B Compass
経営者や営業マン向けの営業サポートコンサルティングを行っている菊原と申します。「対人恐怖症」にまで陥りながらも新たな営業スタイルを確立してトップ営業マンになった私の営業の考え方をシリーズで配信していきます。
第6回目の今回は「失敗話をうまく活用する方法」をテーマにお話し致します!!
新型コロナウイルスの影響で営業方法が従来から様変わりしている中で、営業方法に迷うことが増えてきた方に少しでもお力になれば嬉しいです!
INDEX
“他人の不幸は蜜の味”という言葉を耳にしたことが無いでしょうか?
「先日、こんな痛い目にあいましてして・・・」と書かれていると続きを読まずにいられなくなります。
読んで「あぁ、自分はこうならずによかったぁ」と安心することもあれば、「同じような失敗をしたことがある」と共感することもあります。
不幸話や失敗談は読み人を引きつけますし共感を生みます。
その逆にSNSで、
・こんなに仕事がうまく行きました
・友達と豪華に楽しんでいます
・私は成功していて、今とても幸せです
といった投稿を見かけたらどうでしょう?
多少はいいとしても、あまりにも露骨だと読んでいて腹が立ちます。
ヘタに自慢すれば人から「なんだコイツ感じ悪いな」と思われ、知らないところで敵をつくることになるのです。
これは営業でも同じです。
お客様に対していらぬ自慢話をするのではなく”失敗談”を提供してみてはいかがでしょうか。
その方が何倍もお客様に興味を持ってもらえますし、何倍も役に立てます。
あなたのまわりに「この人の話は面白いなぁ」と感じる人がいるでしょう。
そういった人の会話の内容は自慢話が少なく、その代わりに失敗談が多く出てくるはずです。
魅力的な人は失敗話の比率が高いといった傾向があります。
著者が集まる会でのことです。
そこには尊敬している方も参加しています。
その方の特徴は“とにかく失敗話が多い”ということです。
・空気が読めない社員を採用して社内がざわついている
・新しい分野に手を出し大失敗
・儲け話にのって損をした
・年頃の息子が口をきいてくれない
などなど。
とにかく、仕事でもプライベートの話でとてもおもしろく、そして興味深いのです。
その方の話はただの雑談ではなく「自分の失敗経験を今後の参考にして欲しい」といったメッセージが込められています。
その会で一番の人気者ですし、その方のまわりにはいつも人が集まっています。
もちろん仕事でもしっかり結果を出しているのです。
人間には「快楽を求めるより苦痛を避けることを優先する」という心理があります。
これはすべての生物に対して言えることで、人間から単細胞生物まで共通しています。
生物のDNAには“生き延びる方を優先する”といった行動をとるようにプログラミングされています。
そして危険を瞬時に察知し危険を回避した祖先だけ生き残ってきたのです。
例えばですが”高級ディナー”VS”虫歯”を対決させたとします。
その虫歯はかなりの痛みがあります。
多くの人は「せっかくのディナーだけど歯の治療を優先させよう」と思うでしょう。
経済学でも「人は同額の利益から得る満足よりも、損失から受ける苦痛のほうが大きいため、損失を回避することを優先する」といった理論があります。
何かをして100万円もうけるより「今ある100万円は絶対に失いたくない」と強く思うものなのです。
という人はお客様は「買ってこんなに満足しました」という情報は無視できても「買う前にこれだけは知っておきたかった」という情報は無視できないのです。
これは理屈ではなく本能的な機能からきています。
この感情を情報提供にうまく活用するのです。
私は営業スタッフ時代”中長期のお客様”を丁寧にフォローして結果を出しました。
すぐに家を建てるというお客様ではなく「2~3年かけてじっくり考える」といったお客様です。
このお客様に送っていた情報のすべてが”オーナーのお客様の失敗例”だったのです。
お客様は「自分が住む家だけは失敗したくない」と思っています。
というもの、ほとんどのお客様は一生に一回の大きな買い物になるからです。
誰だって慎重になって当然です。
ここで「せっかく家を建てたのに失敗した。こんなはずじゃなかった・・・」という情報が届いたらどうでしょうか?
忙しくても「これだけは目を通しておこう」と思うものです。
もしこれが”他のお客様の成功例”だったらどうでしょう?
他の人の成功を見て「表面上のいい部分しか見せていないだろう」と思います。
さらには「まあこれだけお金がかけられればいい家になるに決まっているよ」といった嫉妬心も芽生えるかもしれません。
成功例はネガティブな印象を持たれてしまう危険性があります。
しかし、失敗例はそういった心配がありません。
例えばですが
・もっとキッチンを広くすればよかった
・収納奥行きが浅くて使いにくい
・もっとコンセントを増やせばよかった
などなど。
こういった事例は将来間違いなく参考になります。
しかも読まずにはいられないのです。
あなたが扱っている商品でも必ず「買う前に知っておきたかった」ということがあるはずです。
こういった項目をリストアップします。
そして解決策をセットにしてお役立ち情報として送るのです。
本当に役立つ情報を継続的に送っていれば、お客様の中のあなたの存在はどんどん大きくなっていきます。
すぐ購入を考えているお客様はあなたの会社のサービスやメリットの情報を必要としています。
・他社とどう違うのか?
・金額は適正なのか?
・私に使いこなせるのか?
・保証はどうなっていのるのか?
などなど。
1つ1つ細かい部分まで知りたいと思います。
しかし、1年も2年も先に考えている”中長期のお客様”はそういった詳細情報にはまだ興味を持ちません。
その理由は、まだあなたの会社と本格的に検討するかどうか分からないからです。
サービスやメリットなどの情報が必要となるのは、商品への検討段階が進み「あなたの会社も候補に入れました」といった時です。
こうなって初めて情報に興味を持ちます。
その点過去のお客様の失敗例はどんなお客様でも興味を持ちます。
例えば税理士、会計士、コンサルタントといったすでに契約を結んでいる会社に対して、次のような情報を送ります。
・頼んだら実際の見積と違っていた
・顧問契約した途端、フォローが手薄になった
・思ったように結果が出なかった
などなど。
すぐに検討しないお客様でもこのような情報を知っておいて損はありません。
「確かに最近メールの返信が遅くなったな」
「イマイチ結果が出ていない。更新時期に検討し直そうか」
と考えるかもしれません。
この戦略は新規のお客様はもちろんのこと。
すでに他社で契約を結んでいる会社にも効果的です。
あなたが狙っているお客様現状に100%満足しているわけではありません。
長年付き合っている会社に対して「ここがイマイチだ」と不満を感じているものです。
そこへ失敗話や後悔している話をからめお役立ち情報を提供しましょう。
間違いなく印象に残ります。
そして何かの機会に声をかけてもらえるかもしれません。
他人の失敗話、後悔している話をうまく活用してぜひ結果を出してください。
この本は営業で結果を出すための「書く力」にフォーカスして書いております。
これからは「書く力」を身につけた営業スタッフが圧倒的に有利になります。
お客様に対して具体的に”何を・どう・具体的に”書いて伝えればいいのかという「セールスライティング」の極意が学べます。
お客様とムリに会わず、ムダに会わずに成果を上げたい人におススメです。
Amazon.co.jp: 営業マンは、「書く力」を磨け: 菊原 智明
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営業サポート・コンサルティング(株)代表取締役
菊原 智明(きくはら ともあき)
群馬県生まれ。大学卒業後トヨタホームに入社し、営業の世界へ。「口ベタ」、「あがり症」に悩み、7年もの間クビ寸前の苦しい営業マン時代を過ごす。「対人恐怖症」にまで陥るも、“訪問しない”“お客様に望まれる”営業スタイルを確立。突如、顧客の90%以上から契約を得て4年連続トップの営業マンに。約600名の営業マンの中においてMVPを獲得。