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勘と経験よりも仮説と検証!営業戦略策定に必要な新KKD

img1営業戦略を策定するには社内各所と調整しながら、市場のニーズと自社の独自性に適した計画を整える必要があります。

勘や経験に頼ったターゲット選定やアプローチ設計に成功はありえません。

根拠なくターゲットを選ぶのではなく、個々の担当者がデータを閲覧し、チームとして顧客傾向を分析しながら効果的なセールスシナリオを作成することが重要です。

本記事では法人企業データベースを提供するユーソナー株式会社様に、営業戦略の立案に不可欠なデータ活用、効果的な戦略立案のポイントについて伺いました。

営業戦略とは?重要性を解説

営業戦略とは、販売パイプラインの目標を達成するために、営業チームがとるべきルールや活動指針を指すもので、顧客セグメント、地域、チームの構成や目標によって異なります。

営業戦略は、見込み客や既存顧客に対して明確な価値を言語化することができるという点が重要です。その価値が伝わりやすくなるよう、顧客が直面している課題や問題を理解し、自社の製品やサービスがどのような解決策を提供できるかを整理する必要があります。

営業戦略の策定と実施方法は企業によって異なりますが、共通する成功要素は3つあります。

- 社内のステークホルダーと連携し、経営陣の賛同を得ること
- 戦略的な投資に注力し、チームがよりスマートに働けるようにすること
- データ収集と分析に力を入れ、必要に応じて柔軟に方針を転換すること

 

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ビジネスの目標を細やかに定義し、目標を達成するために最も効果的なアプローチを選定することで、組織的な動きとして営業戦略を浸透させることが可能となります。

どのアプローチを最適化するか

営業戦略を策定する上で、インバウンドセールスとアウトバウンドセールスのどちらの戦略を策定するかを決めることが最初のステップとなります。

インバウンドセールスでは、顧客が製品やサービスについて問い合わせをすることがゴールになります。 そのためにも、チャネルごとに様々なエンゲージメント方法を通じて、自社に関する認知度を高めていきましょう。

具体的なインバウンドセールスの例としては、マーケティング部門と協力して、自社製品に関する情報をブログ、SNS、製品比較サイトなどに投稿することが挙げられます。これらのキャンペーンでは、ターゲット顧客がデモや無料トライアルに関する問い合わせをするように仕向けることが重要となります。

アウトバウンドセールスは、担当者が製品やサービスの購入に興味を持つ潜在顧客を特定し、積極的にアプローチすることです。

アウトバウンドセールスの戦術の一例としてメールやテレマーケティングがあります。営業担当者はパーソナライズされた一連のメッセージを通じて見込み客とつながるよう努めることが大切です。営業担当者との接点を通じて顧客は製品やサービスについてより詳しく知りたくなり、商談を検討するようになります。

 

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顧客分析による可視化

最適化すべき戦略を絞り込んだら、次はより効率的に顧客を見つける方法について検討します。具体的には、自社内に存在する既存顧客のデータに、以下のようなデータをオンライン・オフラインの両方から取得し、掛け合わせて分析することが重要です。

①業種データ
日本標準産業分類や企業データプロバイダーの独自分類をもとに、ターゲット企業群をセグメント化し、自社の製品やサービスと親和性の高いクラスターを定義します。

②売上・利益関連データ
企業の売上高や利益の上昇/下落傾向を把握し、投資可能な経営状況にあるかを評価します。
また、中期経営計画などに記載されている「領域別の投資状況」などもグルーピングします。

③企業規模データ
員数(役員や従業員)を把握し、本社以外の拠点がどのエリアにどの程度の規模で存在するかを把握します。また、公開されている情報からどのような領域に注力した企業活動を行うかを把握することで、人的リソースを投下する予定の領域を見出します。

④テクノグラフィックデータ
ウェブサイト上に実装しているツール等を特定し、デジタルトランスフォーメーション領域における企業の進捗状況を評価します。
とりわけマーケティング関連のツールは、競合動向の調査や企業との商談見込み度を評価するために活用することができます。

⑤インテントデータ
メディアサイト等での行動傾向をもとに、企業や担当者の興味関心を可視化します。
また、競合サービスへの興味関心度合いが高まっていないか等、アプローチの優先度設計に関わるような情報を得ることもできます。

⑥系列データ
企業、拠点、組織間の関係を資本等の基準で明確に定義し、分類します。
同様の課題を持っていそうなグループ企業を特定し、営業アプローチの横展開を検討することができます。

 

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このようなデータを持つ複数のデータプロバイダーを活用することで、様々な側面から顧客を理解し、どのような企業が受注しやすいかという傾向と対策を知ることができます。

データプロバイダーによってはこれらの項目を提供していない場合があり、また仮に提供していたとしても個々の企業へのデータ付与率が低く、情報に歯抜けがある場合もあります。

そのため、網羅的な情報を保有しているデータプロバイダー注意して選ぶことが重要です。

「ホワイトスペース」の抽出

このような様々なデータを複合的に活用することで、まだ接点を持てていない「未開拓の重点アプローチ企業群」を仮説立てすることができ、ユーソナー株式会社様ではこれを「ホワイトスペース」と呼んでいます。

従来、マーケティング担当者が営業に引き渡すリード情報は、既に営業が名刺交換したリード情報から優先順位を付けがちですが、既存顧客と属性や傾向が似ている「ホワイトスペース」に対してアプローチを行う方が、より高い営業効果を期待できます。

電通B2Bイニシアティブが取り扱いをしているクラウド型B2Bデータベース「ユーソナー」では、最新の企業データを網羅的に搭載しています。

国内でも最新の企業データを提供している企業は複数ありますが、その中でも業界トップクラスである「ユーソナー」は圧倒的な網羅性を誇っているのです。

国内最大級の820万件以上の企業や事業拠点に関する連絡先情報、業界動向、ニュースといった情報をオフライン・オンラインの両方の手段を用いて日々収集しており、これらの情報をニーズに直結するようなインサイトと統合し、事業拠点という細かい単位で高品質かつ正確なB2Bデータを提供しています。

「ユーソナー」では新規顧客の発見とアプローチ方法の策定に必要な情報を単一のツールでワンストップで提供しているため、営業戦略を策定する上で従来必要だった、様々なデータソースから情報を取得する作業を省略できます。

 

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継続的な戦略改善

効果的な営業戦略を立案するためには、営業部門のリーダーは必要なステークホルダーと連携し、適切なデータの収集・分析、人材やテクノロジーへの投資を効果的に活用する必要があります。

営業組織が利用しているツール横断で同じデータを共有し、データドリブンに営業目標を数値化させるためにも、特にテクノロジーは大きな役割を担っています。

営業戦略は市場の変化に柔軟に対応させることが必要です。市場の思わぬ成長や新しいテクノロジーの登場によって、営業戦略の立て方も継続的に見直すことが重要となります。

また現在使用しているテクノロジーについても、営業担当者にフィードバックを求めることが重要ですので、トップ営業たちの意見に寄り添い、彼らにとって使い勝手の良いツールについて話し合い、使用するツールやデータ共有の方法、運用ルールを見直していきましょう。

おわりに

効果的な営業戦略の立案に、データは欠かせない要素です。営業担当者が顧客とより良い関係を築いていくためにも、高品質なデータに投資することが重要と言えます。

例えば「アウトバウンドコールで接触した企業が、自社で最も多くの金額を支払ってくれていることがわかった」という場合、自社の営業担当者の人数と見込み客の数から、コールに特化したアウトバウンド営業担当者をあと5人雇えば収益を倍増できると予測するといった形で、データドリブンな営業戦略は実現可能性と成功までのステップを明示することができます。

このように、営業でのデータ活用の成功例が出来上がった後に、カスタマーサクセス、マーケティング、IT、人事など、社内のあらゆる部署でデータの共有を進めていきます。これにより、収集・共有されるデータの規模や質は向上し、企業の収益性にさらなる影響を与えられるでしょう。

データドリブンな営業戦略を実行するには、企業は大きな変化を経ることとなります。データの収集、保有、分析、洞察を円滑に進めるためには、社内のあらゆる部署が連携した上で、明確な成功指標と細やかな計画を立てることが重要です。

次回はこのような顧客分析と営業戦略を実行するために、どのようなデータを保持するべきかについて詳しく解説していきます。

 

PROFILE

株式会社電通 ソリューションプランナー/ビジネスコンサルタント 梅木 俊成

株式会社電通 第8マーケティング局B2Bマーケティングコンサルティング部 B2Bマーケティングコンサルタント

梅木 俊成

マーケティング部門、営業部門を経て2020年より現職。2012年から半導体、マテリアル、IT系商材、PCやスマートフォン等100社以上の国内外におけるB2B事業におけるコンサルティング及びブランド戦略とデマンド戦略を中心に担当。顧客購買データ分析を起点にオンオフ施策やMA/SFA/CDP等のDXツールの導入、インサイドセールス、カスタマーサクセス体制等の組織構築支援を行う。電通グループ横断プロジェクト「電通B2Bイニシアティブ」主宰。