• 2025/01/27
  • 2025/01/27

製造業のための海外受注と商談につながる多言語法人サイト10ポイント

製造業のための海外受注と商談につながる多言語法人サイト10ポイント

こんにちは~B2Biニューヨーク特派員のようこです!

ウェブサイトから海外受注とか商談につなげるにはどう始めればいいのか、そして一体どこから開始すればいいのかわからない…とお悩みのそこのウェブ担当者やマーケ担当者の皆さま~!ちょっぴり難しそうに感じるトピックかもしれませんが、誰でもわかるように今回一からご説明しますのでご安心ください。このブログを読んで、海外受注や商談に繋がるようなウェブサイト作りのポイントをしっかりと押さえ、是非海外進出の第一歩を歩み始めてみてください!

製造業が海外展開を目指す際に最も重要となるビジネスツールの一つといっても過言ではない多言語対応の法人サイト。製造業の海外展開や海外からの受注に繋げるためには、単に現在ある日本語サイトを英語に翻訳するだけでなく、現地顧客がアクセスしやすく自社の製品やサービスの価値が分かりやすく伝わる「多言語法人サイト」を構築することが不可欠となります。

特に、法人サイトは「企業の顔」として24時間機能してくれるだけでなく、見込み客の獲得や商談の機会を創出してくれる「営業パーソン」的な重要な役割を担うため、多言語対応のサイトで海外受注や商談につなげるためには、ターゲット国の文化や言語に合わせたアプローチで信頼を築き、現地の潜在顧客にしっかりとアピールできる事がポイントとなります。

そこで今回のブログでは、海外受注や商談に繋げるために押さえるべき製造業のための「多言語法人サイト」のポイントを実際の米国製造企業のウェブサイトと照らし合わせながら解説していきます。以下のポイントを考慮した上で、海外の訪問者や潜在顧客にとって使いやすい、信頼性の高いサイトを構築し、海外展開にむけて事業の成果を最大限に引き出すために是非お役立てください。

ポイント1:ターゲット市場に合わせた多言語対応

海外受注を実際に増やすためには、ウェブサイトを単に直訳するだけではなく、ターゲット国、各国の文化や言語、業界の習慣に合わせた「ローカライズ」をする事が不可欠となります。例えば、アメリカと日本では品質基準や製品の規格に対する理解が異なることがあるため、各国の言語に合わせるだけでなく、具体的な製品仕様や導入事例を現地の市場に合った形で紹介したり、現地で親しみやすい言葉やフレーズなどを用いることで、顧客との距離が近づき、信頼も得やすくなります。

また、多言語といっても言語が多すぎてはターゲット不透明なイメージが強く、ウェブサイトのコンテンツの質が低くなるがゆえに、ビジネスの信頼度も低くなりがちです。そのため、ターゲット国は多くても2〜3ヵ国に絞り、言語は多くても日本語以外は2ヵ国語に絞るようにし、どの言語でもクオリティを下げず、特定の国や地域の言語と文化的なニュアンスなども考慮し、訪問者に親近感と信頼感を与え、商談や受注の可能性を高める言語の訳し方とコンテンツ作りに取り組みましょう。

例えば本社をイギリスに構えるフィルター製造をするアマゾンフィルターズ社の場合、英語以外ではドイツ語とポーランド語の合計3カ国の言語に対応しています。プラグインツールなどを利用した自動翻訳ではなく、顧客のニーズやビジネスのデータをベースにしてターゲット国を2カ国(もしくは2エリア)に絞り、どの言語でもウェブサイトのコンテンツの質を落とさず、各国からの受注をしっかりとキャッチできるようなウェブサイトの作りになっています。

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画像:アマゾンフィルターズ社ホームページよりhttps://www.amazonfilters.com/

ポイント2:明確且つ簡潔なメッセージ

また、訪問者がウェブサイトを訪れたときに求めている情報や製品がすぐにそのサイトで見つけたり、何をしている会社なのか、などがすぐに理解ができるかどうかという部分も非常に重要なポイントとなります。これらが不明確だと、ウェブサイトに訪問してくれていてもすぐに離脱をしてしまい、受注どころか訪問者にとって一切印象に残りません。

ウェブサイトのメッセージでは「何を提供しているのか」「誰に役立つのか」などといったビジネスの基本情報を明確に記載しましょう。メッセージではかっこいいキャッチフレーズに頼るよりも、まずはWho(誰のための)What(何を)Why(何故)をできる限り伝えられる「明確さ」を重視して打ち出す事がポイントとなります。 

例えば前例でもご紹介した、本社がイギリスにあるフィルター製造をするアマゾンフィルターズ社では、ウェブサイトのメッセージングの再構築をしたほか、ナビゲーションのリニューアルやコンテンツ構築やコンテンツの整理など、様々なウェブサイトの要素を一新し、ウェブサイトのリニューアルを実施しました。

その結果、見込み客からの問い合わせが127%も向上したという結果に繋がりました。

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画像:アマゾンフィルターズ社ホームページより
https://www.amazonfilters.com/

また、オランダに本社を構えるレーダーシステムの製造会社、ロビンレーダーシステムズ社は2023年4月に問い合わせページのメッセージを変えた結果、10%も成約率が高まったという事例もあります。

このように、ウェブサイトのコピーを理想顧客に向けて簡潔に分かりやすく伝えるだけで商談や受注につながる問い合わせへと発展できるため、多言語法人サイト構築時にはABテストなどを行い、しっかりと抑えておきたいポイントとなります。

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画像:ロビンレーダーシステムズ社ホームページより
https://www.robinradar.com/

問合せフォームの変更前のコピーは、「実行可能なデータを視野に入れよう。あなたの空域をより安全にする準備はできていますか?」という少し分かりにくい訴求に対して、変更後では「営業担当に相談する。空域内の鳥やドローンの検出、分類、追跡にお困りですか?ぜひ当社の知識豊富な営業チームメンバーにご相談ください。」というよりストレートな表現に調整されました。

これによりフォームからの問い合わせが10%向上したという結果に繋がりました。

ポイント3:差別化

また、差別化は訪問者の興味を惹きつけるためにも非常に重要な要素で、製品以外でも差別化を図ることが可能です。

例えば、カスタマーサービスや会社の文化、組織構造、や特定のユーザーのニーズに応じた対応なども差別化ポイントとなり得るため、しっかりとユーザーや顧客のニーズやインサイトに耳を向け、あらゆるニーズに応えてみましょう。また、競合他社のウェブサイトを分析し、競合とははっきりと明確に異なる点などをウェブサイトでアピールし差別化対策もしてみましょう。

例えばデンマーク発祥の天窓の製造会社で知られるヴィーラックス社(Velux)では、北欧らしいスッキリとしたウェブサイトのデザイン以外にもサステナビリティを考慮しているエコな製造会社であるということを自社サイトの1ページ目に提示し、環境保護やサステナビリティーに敏感なユーザーや顧客層に向けたコンテンツなどを発信しています。

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画像:ヴィーラックス社ホームページより
https://www.veluxusa.com/


ポイント4:わかりやすいナビゲーション

ポイント1でもお話しした通り、最初に各国の訪問者のニーズを把握した上で、ナビゲーションやコンテンツなどは適切に構成をし、サイトユーザーや訪問者にとって全体的に分かりやすいナビゲーションやメッセージを構成するように工夫をしましょう。

顧客の行動に沿ったコンテンツで訪問者に寄り添ったサイト体験を提供できるよう心がけることにより、商談などにも繋がりやすくなります。特に、製造業の商談においては、顧客の多くがよりわかりやすい情報を求めています。そのため、海外受注を増やすためには、見込み顧客が今すぐに求めている情報がサイトですぐにアクセスできるようにしておくことがポイントとなります。

サイトユーザーや訪問者のだれもが、分かりやすく使えて、情報が整理されたサイト構成は特に海外では重要となります。例えば、製品の特徴、技術仕様、品質管理の体制、導入実績など、複雑でかさばりやすい情報もなるべく簡潔に示し、ユーザーや見込み客が求めている情報に素早く対応できるようにしておきましょう。

特に重要なのは、製品情報や技術的な詳細で、これらを明確に記載し、簡潔かつ要点を押さえた説明が信頼感を生み出します。そのため、これらの情報はきちんと現地の言葉や単位を利用し、分かりやすく掲載しておきましょう。

また、技術的な内容については、図表や図解を活用し、専門的な用語も適切に翻訳をし、ユーザーがより理解しやすいサイトに仕上げるように工夫しましょう。製造業においては、製品そのものに関して各ユーザーがそれぞれこだわりを持って吟味したがるため、高品質な画像や動画、詳細なスペック情報なども含めて製品の実力を効果的に伝える事で、商談への一歩を促してくれるでしょう。

  • a.製品の画像:製品を直接見せることが最も効果的な方法となるため、実際の製品の高品質な写真などを用いることで、訪問者に製品の特長や使用方法を伝えたり、製品の持つ価値や特徴などを視覚的に示してみましょう。
  • b.製品仕様:製造業のウェブサイトでは、製品の仕様を明確に提示することが重要となります。特に技術的な視点から、各見込み客がその製品はそれぞれのニーズに適合しているかを吟味するため、製品の詳細も目立たせるように記載してみましょう。

前例でも紹介したレーダーの製造会社、ロビンレーダーシステムズ社では、以下のように分かりやすく、簡潔に商品の説明から製品仕様、使い方まで自社のウェブサイトに掲載しています。

多くの製造業の場合、商品のパーツのみを製造する場合が多いですが、このように自社製品の代表商品を2〜3品目用意し、それらを大体的にウェブサイトで紹介をするという手法で自社の技術アピールをするのも見込み客にとって商品価値が分かりやすく伝わるため非常に効果的です。

同社では、製品使用などをPDFにまとめ、フォーム等記入無しにだれでもダウンロードできてアクセスできるような構造で詳細情報を記載しています。また、スペック情報だけでなく、プロフェッショナルな商品の写真や機械の詳細やパーツ、インフォグラフィックスなどの写真や素材などを交え、スタイリッシュに情報を提示している事で、カタログとしても利用できるようになっています。

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画像:ロビンレーダーシステムズ社ホームページより
https://www.robinradar.com/


ポイント5:ユニークなブランディング

ウェブサイトのブランディングは競争相手から際立たせ、訪問者に強い印象を与え、信頼や親しみを生むという大切な役割を担います。

特に製造業のサイトにおいては、ブランドの独自要素を取り入れたデザインを通しブランドの個性を強調する事で、海外のバイヤーや潜在顧客に持続的な印象を残せるようなブランディングを目指しましょう。また、各国の市場ニーズや文化に合わせたコンテンツ作りを行い、グローバルかつローカルなブランドイメージを確立し、信頼性の構築に繋げていきましょう。

例えば前例でご紹介したデンマーク発祥の天窓の製造会社でしられるヴィーラックス社(Velux)のサイトは、北欧らしいスッキリとしたウェブサイトのデザインでB2C、B2Bの両方の見込み顧客の目を惹くようなデザインとなっています。また、ウェブサイトの背景には動画を利用しており、これにより離脱率を下げ、エンゲージメントを向上し、会社の商品に興味を沸かせるような効果が期待できます。

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画像:ヴィーラックス社ホームページより
https://www.veluxusa.com/

ポイント6:ソーシャルプルーフ(社会的証明)

また、ウェブサイトの訪問者に信頼感を与え、問い合わや電話やEメールをするなどという行動を促すためには、社会的証明や事例、クライアントの声などを掲載することが非常に効果的となります。

製造業の場合、顧客のレビューやクライアントのロゴ、事例などで証明を掲載する事で、ウェブ訪問者や見込み客の安心感や信頼感の向上にも繋がります。製造業やB2B企業にとって「信頼性」は非常に重要なポイントとなるため、多言語サイトではISOなどの国際的な認証取得状況や、品質管理体制、導入事例、顧客の声などがある場合、それらをしっかりとアピールし、ウェブサイトにて紹介をするようにしましょう。

また、現地法人や現地スタッフのサポート体制がある場合は、それらの存在をアピールすることで、さらに信頼性を高められます。このような証明を提示することで、海外の潜在顧客が安心して商談に臨めるようになるウェブサイトの構築を目指しましょう。

例えばアメリカに本社を持つ住宅用、商業用、および産業用ガレージドアの製造業者のC.H.I.オーバーヘッドドアーズ社では、住宅用の顧客によるレビューを掲載するなどし、たとえ本業はB2B製造業であったとしても、住宅用や個人顧客仕様にしっかりとコンバージョンを狙うためのウェブサイト構成がされています。これにより、B2Bのバイヤーでも、このようなレビューが見れるため、信頼性の向上が期待でき、商談にも繋がりやすいという相乗効果が期待できます。

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画像:C.H.I.オーバーヘッドドアーズ社ホームページより
https://www.chiohd.com/     


ポイント7:SNSやB2Bプラットフォームとの連携

多くの海外の製造業系のウェブサイトでは、リンクドインやウィーチャット、B2Bの通販プラットフォームのアリババやB2B用のアマゾンビジネスなど、ターゲット国で人気のSNSやB2Bプラットフォームと連携をし、そこから販売をしたり法人サイトに誘導する仕組みを構築しています。

また、サイト内ではSNSのフォローボタンや最新情報のリンクを設置し、ユーザーがSNS経由で最新の製品情報やニュースにアクセスできるようにし、既存顧客とのエンゲージメントや見込み客の獲得のためのタッチポイント作りの為や広報ツールとしてSNSを利用し、サイトへのアクセス数を増やしたり、商談のチャンスに繋げています。

例えばデンマーク発祥の天窓の製造会社でしられるヴィーラックス社(Velux)では、ソーシャルメディアコンテンツの戦略で10.3万人のフォロアーを持ち、1リール(ショートビデオ)につき平均約1万回以上のビュー数を獲得しています。ビュー数以外にも、比較的にしっかりとエンゲージメント獲得しているため、効果的なソーシャルメディア戦略を打ち出している事が分かります。

これにより個人バイヤーや、B2Bバイヤーなど幅広くリーチができるため、SNSから商機やリピート客を作り出していることが分かります。

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画像:ヴィーラックス社のインスタグラムページより

ポイント8:明確な問い合わせ&商談の導線

また、多くの海外の現地の製造業系のウェブサイトでは、訪問者がサイトに訪問後どのようなアクションを次に取るべきかをウェブサイト1ページ目に明確にしています。多くの場合、複数の問い合わせボタンやコンタクト方法をサイトの1ページ目に提示をしており、問い合わせをしやすくする構成で、新規見込み客の獲得に繋げています。

例えば、見積もり依頼やサンプル請求、代理店への連絡をしやすくしたり、取扱店の検索をしやすくするなど、複数の選択肢を提示することで、訪問者は自分に最も適した方法でアクションを起こすことができるようなコンテンツやウェブサイトの情報提供をしましょう。

そのほかに、見積もり依頼や商談のリクエストもスムーズにできるよう、問い合わせフォームや商談予約機能をシンプルに整えたり、フォームには、各国の担当者の名前や連絡先、対応言語の案内を表示することで、ユーザーが安心して問い合わせできる環境を提供する事も可能です。

また、メール以外でも、ワッツアップ(WhatsApp)やウィーチャット(WeChat)など、各国の一般的なメッセンジャーアプリや連絡手段を取り入れると、よりスムーズなやりとりが可能となります。下記、アクションボタンや問い合わせリンクの例の一覧となります。

  • 見積もりのリクエスト:見積もりをすぐに依頼できるボタンを設置することで、興味を持った訪問者がアクションを起こしやすくします。
  • サンプル請求:実際の製品サンプルを請求できるオプションを提供し、顧客が製品の品質や特徴を直接確認できるようにします。
  • 代理店への連絡:代理店との連携が必要な場合、問い合わせをスムーズに行えるリンクなどを用意し、顧客に地域のサポートを提供するようにします。
  • 取扱店の検索:実店舗や、取り扱い店舗を探すリンクなどを提供し、顧客が直接製品を確認し購入する方法を明確に提示します。
  • チャットボット:以上のコンタクトや問合せ方法を全て包括的にサポートできるチャットボットを設置し、対話型のサポートで迅速な対応を可能にし、見込み客や訪問客のサポートを提供します。

以上、これらのオプションをはっきりと目立たせることで、訪問者のニーズに合わせた柔軟な対応が可能となり、訪問者が次にとるべき行動を迷うことなく選択できるようにする事で、商談の機会を増やしたり、コンバージョン率の向上も狙えるようになります。

例えば、以前ご紹介したアメリカに本社を持つ住宅用、商業用、および産業用ガレージドアの製造業者のC.H.I.オーバーヘッドドアーズ社では、ホームページのトップに、見積もりボタンとドアー製造の依頼ボタンの合計3つのボタンを設置しており、見込み客の獲得を見落とさない構造になっていることがよく分かります。

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画像:C.H.I.オーバーヘッドドアーズ社ホームページより
https://www.chiohd.com/

またアメリカを本社にもつ機械ツールの製造会社のメソッズマシーンツールズ社のウェブサイトも、ウェブサイトの上部に見積もりをリクエストするためのボタンを設置、赤いボタンにする事で目立たせ、ボタンを推しやすくしているデザインの工夫がされています。

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画像:メソッズマシーンツールズ社ホームページより
https://www.methodsmachine.com/ 

こちらのイギリスを本社にもつ屋根の製造会社のマーレー社のウェブサイトではウェブサイトを開いてすぐにドロップダウンの見積もりフォームを含めたコンタクトフォーム設置する事で、ユーザーが面倒と思いがちな見積もりや問い合わせの過程をシンプル化・簡易化し、問い合わせをよりスムーズにしやすくする工夫がされていることが分かります。

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画像:マーレー社のウェブサイトより

ポイント9:レスポンシブデザインと表示速度

そのほかに、海外ビジネスにおいては海外の現地ユーザーやバイヤーが快適にサイトをどこからでもどんなデバイスでも利用ができるよう、モバイル対応や表示速度の最適化が必須となります。特に、中国やインド、アメリカなど、モバイルユーザーが多い地域では、スマートフォンでも使いやすいウェブデザインが求められます。

また、表示速度が遅いとユーザーの離脱率が上がり、SEO面でも不利となってしまいます。そのため、各国のアクセス速度に関してはGoogleのページ速度ツールなどで確認をし、調整を行うようにしましょう。

実例として、ニューヨークに拠点を置くHVAC製造会社のTSIテクノロジーズ社やペンシルバニア州に本社を置く表面処理製造会社のSPC社など、スマートフォンからのアクセスでも問い合わせボタンがウェブサイト1ページ目の上部に複数設置されているほか、分かりやすいメッセージでなんのための会社でどんな商品を売っているかが、一目瞭然に構成されていることが分かります。

このようにどんなデバイスからも見込み客からの問い合わせが獲得できるような様々な工夫が海外では特に重要となります。

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画像:TSIテクノロジーズ社ホームページより
https://tsitec.com/
SPC社ホームページより
https://www.sharrettsplating.com/

ポイント10:SEO対策

最後に、海外での認知度を高めるためには、各国に合わせたSEO対策(検索エンジン最適化)も重要となります。

グーグル以外にも中国ではバイドゥ(Baidu)や韓国ならネイバー(Naver)など、ターゲット国における主要検索エンジンに対応したSEOを実施し、より多くの潜在顧客にリーチできるようにしておきましょう。特に各国市場での検索キーワードを調査して、それらを含むコンテンツを作成することで、海外からのアクセスを向上させ、商談の機会を増やすことに繋げましょう。

また、全体のグローバルのSEOよりも、ターゲット地域に特化したローカルSEO戦略を実行することで、検索エンジンでの可視性を高め、特定市場での認知度を向上させることに成功しやすくなります。広く浅くよりもターゲット国やエリアやターゲットを絞り、狭く深くターゲットを狙う事により、ターゲット層にとってより高クオリティーのウェブサイトで商機や商談の可能性を高める事が可能となります。

実例として、前回ご紹介したアメリカを本社にもつ機械ツールの製造会社のメソッズマシーンツールズ社のウェブサイトでは、ケーススタディやブログ、動画などといった様々なフォーマットのコンテンツを豊富に用意している事がわかります。

特に動画などを連載する事で、ユーチューブでのフォロワーを構築できるほか、見込み客が実際に商品の使い勝手や商品のクオリティーなどを細かく見れるようなコンテンツで、質が高く顧客化しやすい見込み客を惹きつけるようなコンテンツを展開しています。

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画像:メソッズマシーンツールズ社ホームページより
https://www.methodsmachine.com/

また、このようにブログやケーススタディ以外にもグーグルのエコシステムでもあるユーチューブ動画の連載をし、ウェブサイトに連携する事により、SEO的に有利なウェブサイト作りを目指している事も分かります。

このように、動画やブログ、ケーススタディなどといった様々なコンテンツを利用する事で、サイト訪問者に情報を提供しつつ、ユーチューブページでもフォロワーを獲得しながら、全体的にSEO的に有利なウェブサイトの構築により、既存顧客のリピート化と新規顧客の獲得に貢献できるという好循環なウェブが出来上がります。

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画像:メソッズマシーンツールズ社ホームページより
https://www.methodsmachine.com/ 

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画像:メソッズマシーンツールズ社ユーチューブページより

多言語化ツール例

顧客に分かりやすく、親しみやすい表現を使ったウェブサイト作りが重要である一方、現実的に今すぐに現地の顧客やユーザーに直接アクセスできない場合も多いのではないでしょうか?ここでは、そのような状況でも、コストを抑えつつ短期間で多言語化を実現できる製造業向けの便利なツールの一例をご紹介します。

日本産ツール一覧

  • Shutto翻訳:幅広い業界に対応でき、テクニカルなスキルがなくても簡単に編集ができるほか、海外の検索エンジンの対応機能で海外のSEO対策が可能。
    https://www.submit.ne.jp/
  • T-400:B2Bの製造業やSaas系企業の専門用語などにも対応できる翻訳ツール。PDFドキュメントの翻訳にも対応が可能のため、製造業系のウェブサイト向き。
    https://www.rozetta.jp/t4oo/
  • Myサイト翻訳:サイトの情報量が多く、商品やサービスなどの更新頻度が多いウェブサイト向け。ワンクリックで他言語翻訳が実現でき、簡単に多言語化が可能。
    https://mysite-ai.jp/

海外産ツール一覧

注)AI翻訳ツールで日本語ウェブサイト翻訳時に気を付けたい7つの落とし穴

これら翻訳ツールは、AIを利用して自動翻訳や翻訳管理の機能を活用して効率的に多言語化を進めるのには役立ちますが、これらAI翻訳ツールの落とし穴として、成約率が低くなったり、離脱率が高くなる、などといった結果に陥ったケースも非常に多く、実際に翻訳ができたのはいいが、成約までになかなか至らないケースが多いです。

そのため、どのような点に注意して翻訳ツールを利用して多言語サイトを進めるべきか、翻訳ツールを利用しながら商談にもつなげるための下記7つのポイントを説明していきます。

1.直訳による不自然な表現

AI翻訳ツールは、言語間の単語やフレーズを直訳することが多く、ときたま文法や表現が自然でない場合があります。日本語から英語、または他の言語に翻訳すると、文化や言語のニュアンスが失われ、読み手にとって不自然な文章になることがあります。これがユーザーにとっての信頼性や共感を欠く原因となり、成約率や受注や商談に関する問い合わせが低くなる原因ともなりえます。

そのため、文脈に合った翻訳を確認するように、訳後は内容全体をチェックし、文脈に合わせた調整を行うようにしましょう。

2.文化的な違い

言語だけでなく、文化や価値観の違いも大きな要素です。例えば、日本では丁寧語や敬語や遠回りな表現などが多く使われますが、他の国ではカジュアルでよりストレートな表現が好まれる場合があります。文化的な違いを無視した翻訳は、ターゲット市場での信頼性や親近感に影響を与える可能性があります。

AI翻訳ツールはこうした文化的な違いを考慮して翻訳できないため、ユーザーが不安を感じたり、ウェブサイトの印象が悪くなったりする可能性があります。そのため、翻訳後は、文化的に適切かどうかを確認し、ターゲット市場に合った表現に調整するようにしましょう。

3.専門用語や業界用語の誤訳

特にB2Bや技術系のウェブサイトでは、業界特有の専門用語や技術用語が多く使われます。AI翻訳ツールはこれらの用語を正確に翻訳できないことがあり、誤解を招く場合があります。誤った翻訳が発生すると、訪問者が商品やサービスを理解できず、成約や商談などの問い合わせに繋がらない可能性があります。

そのため、業界用語や専門的な内容は、翻訳ツールで翻訳した後にネイティブの専門家にチェックしてもらうようにしましょう。また、翻訳ツール内で専門用語の辞書をカスタマイズできる場合はそれらを活用するようにしましょう。

4.ターゲット市場のローカライズ不足

単に翻訳を行うだけでは不十分で、ターゲット市場に合わせたローカライズが必要です。ローカライズとは、言語だけでなく、デザイン、コンテンツ、UI(ユーザーインターフェース)、文化的な要素などをターゲット市場に合わせて最適化することを意味します。AI翻訳ツールはこのローカライズを考慮できない事が多いため、現地ユーザーに適した翻訳ができないケースも多いです。

例えば、多くの場合、日本国内用のウェブサイトは海外(特に北米やヨーロッパ)ユーザー向けにデザインされたウェブサイトよりも文字数が多めな傾向にあります。日本ではなるべく多くの情報を小さいスペースにぎっしりと詰めたがる傾向がありますが、海外では読みにくくて分かりにくい文章やぎっしりと書かれた文章などには見向きもしない人が多いため、ウェブサイトの離脱率上昇につながってしまう場合もあります。

そのため、ウェブサイトのヘッダーの文字数や全体的な情報量なども含め、現地のユーザーや顧客となる層のユーザーとウェブサイトのUIやコンテンツやデザインなどのフィードバックを得るようにしましょう。

5.信頼感の欠如

翻訳されたウェブサイトが不自然に感じられると、ユーザーはそのサイトを信頼できないと感じることがあります。特に、購入やサービス契約への問い合わせへ至るような重要な決定をする際には、信頼性の高さがカギとなります。翻訳結果が不自然で流暢でない場合があると、ユーザーが理解しづらくなることがあり、信頼感を損なうことがあり、成約に至らないことが多くなります。

そのため、翻訳後は文法や表現が自然で流暢であるかを確認し、必要に応じて修正を加えるようにしましょう。特に、マーケティングやセールス関連のコンテンツでは、感情に訴える表現が重要となります。不正確な翻訳や文化に合わない表現を使わないように確認するようにしましょう。

6.品質チェックを行う

翻訳ツールを使用しても、コンテンツの質自体が不十分である場合はユーザーの関心を引きつけることは難しく、ウェブサイトに訪問者が訪れたとしても滞在せずに離脱に繋がってしまいます。AI翻訳ツールは、コンテンツの文脈やトーンを完全に理解できないため、ウェブサイトのユーザー体験(UX)全体に影響を与えることがあります。ユーザーがコンテンツをスムーズに理解できるかどうか、AI翻訳ツールを使った後は必ず現地のネイティブスピーカーや専門家による最終チェックを行いましょう。ツールが翻訳した内容が正確か、自然か、そしてターゲットに適しているかを確認することが成約率の向上にも繋がります。

現地の顧客層やターゲットユーザー、または現地のウェブ制作会社やマーケティングエージェンシーなどに協力を得て内容を確認してもう事もお勧めです。このステップを踏む事により、言葉のニュアンスや表現、業界用語などがターゲット市場に適しているかをチェックすることができます。

7.SEO(検索エンジン最適化)を考慮する

また、翻訳後はSEOに適したキーワードが使用されているかどうかを確認することも重要です。翻訳後は検索エンジンに適したキーワードを意識した翻訳の調整や、ターゲット市場での検索トレンドやキーワードに基づいて、コンテンツを最適化するように努めましょう。また、ローカルSEOの観点からも現地の検索ニーズに合った表現に調整するようにしましょう。

以上、翻訳ツールを賢く活用しつつ、最終的な確認を現地の視点で行うことで、より信頼性の高い多言語ウェブサイトを作り上げることに努めましょう。

まとめ

以上のように、B2B製造業のウェブサイトで海外からの受注や商談に繋げられるような魅力的なウェブサイトにするためには、以下のような要素が成功の鍵となります。

ターゲット市場に合わせた多言語対応

ターゲット市場に合った言語や文化に配慮をし、現地の顧客にとって親しみやすく、信頼感を持ってもらえるような翻訳を目指しましょう。

明確且つ簡潔なメッセージ

製品やサービスの特徴を短く明確に伝えることで、訪問者がすぐに自社の提供価値を理解できるように努めましょう。

差別化

自社の独自性を明確にし、競合との差別化を図ることが大切です。製品やサービスだけでなく、カスタマーサポートや企業文化、柔軟な対応などをアピールすることで、他社と異なる価値を提供できる部分を提示しましょう。

わかりやすいナビゲーション

ウェブサイトの構造やナビゲーションがシンプルで使いやすいと、訪問者は目的の情報に素早くアクセスできます。重要な情報や商品ページ、問い合わせページへの誘導を明確にすることで、訪問者の離脱を防ぎ、商談への可能性を高めましょう。

ユニークなブランディング

ブランドのアイデンティティをサイト全体に反映させ、訪問者に鮮明な印象を残しましょう。デザインに一貫性を持たせ、ブランドカラーやロゴを適切に配置し、記憶に残りやすくなるようなブランディングで訪問者の印象に残るイメージを目指しましょう。

ソーシャルプルーフ(社会的証明)

顧客の声や導入事例、業界内の評価や認証を紹介することで、見込み客の信頼性を高め、安心して問い合わせや購入に進んでもらえます。海外市場では特に、現地での信頼獲得が鍵となります。

SNSやB2Bプラットフォームとの連携

SNSやリンクドイン、アリババなどのB2Bプラットフォームと連携することで、ウェブサイトへのアクセス数を増やし、認知拡大を図りましょう。また、SNSを通じて見込み客や既存客やフォロワーとのコミュニケーションを取ることで、顧客との信頼関係も築きやすくなります。

明確な問い合わせ&商談の導線

ウェブサイト内には複数の問い合わせ手段(メール、電話、問い合わせフォームなど)を設け、訪問者がスムーズに次のステップへ進めるようにしましょう。見積もり依頼やサンプル請求などの導線を整備し、商談への移行を促進しましょう。

レスポンシブデザインと表示速度

スマートフォンやタブレットなど、さまざまなデバイスからのアクセスに対応したレスポンシブデザインを導入しましょう。また、表示速度の最適化を図ることで、ユーザーエクスペリエンスを向上させる事で、SEO効果も期待できます。

SEO対策

ターゲット市場に合わせた検索エンジン最適化(SEO)を行い、検索結果での上位表示を狙いましょう。コンテンツなどによるキーワードの最適化や、ローカルSEOの活用などにより、海外からの自然検索流入を増加させる施策をとりましょう。

以上の要素を組み合わせ、多言語法人サイトを構築する事で、たとえニッチな分野の製造業の企業であっても海外市場での存在感を高め、新規顧客からの受注や見込み客からの商談のチャンスを拡大することができるようになるでしょう。

いかがでしたか?最終的にどこの国が事業にとって一番プラスになるのかをしっかりと踏まえたうえで、対象国の市場のニーズにしっかりと応えた情報提供と、各市場のユーザーの利便性を重視したウェブサイト作りが求められる点が成功する多言語サイトのポイントとなります。信頼性と魅力をしっかり兼ね備えた多言語の法人サイトで、世界に堂々と挑む製造業として、みなさまの企業が世界市場で戦えるヒントとなれば嬉しいです!

それではまた次回の投稿でお会いしましょう~See you next time!

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ヨウコ・ウィルソン(旧名:内田洋子)

PROFILE

ヨウコ・ウィルソン(旧名:内田洋子)

2014年からニューヨークを拠点に日系企業の海外進出支援とマーケティング事業を展開。現在は電通B2Bi公式パートナー企業として、日系B2B企業の海外進出を支援中。2児のママとして子育てをしながらエッジメディア社他、複数の事業を経営中。

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