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新規事業のためのインサイドセールスの活用方法とは?

新規事業のためのインサイドセールスの活用方法とは?

BtoBのマーケティング担当者の中には、「事業をこれから立ち上げる」「新規製品やサービスをこれから拡大させていく」といった、新規事業を担う方も多くいらっしゃると思います。

ご存知の通り、BtoBマーケティングには型や成功事例が多く存在しているものの、「新規事業」となった途端に難易度が大きく上がります。

本記事ではBtoBのマーケティング手法の中でも、「新規事業を成功に導くためのインサイドセールスの活用方法」についてご紹介させていただきます。

 

PROFILE

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株式会社電通デジタル ネクストコア部門 マーケティングデザイン事業部

清水 典

通販企業のマーケティング部門にて、食品やサプリメント、化粧品事業、新規事業の立ち上げを担当。電通デジタルに参画後、B2C、B2Bなど幅広くマーケティング戦略の立案と実行を担当。B2Bクライアントでは新規事業の立ち上げ支援やインサイドセールス戦略立案~実行を中心に担当。電通B2Bイニシアティブサブリーダー。

INDEX

新規事業開発の成功確率とは?
製品ローンチ後に解決すべき課題とは?

製品ローンチ後に解決すべき課題とは?
プロジェクト成果

活用の最大のメソッドは「失注理由の探索」
新規事業のための「失注分析」とは

新規事業成功のための超えるべき課題とは?

新規事業は一体なぜ難しいとされているのでしょう。どういった部分が障壁となり、どこが課題となっているのか。このポイントを把握し、対策を行いながらマーケティング活動に繋げることで新規事業の成功確率は各段に上がると考えています。

新規事業開発の成功確率とは?

難易度が高いと言われている新規事業ですが、アビームコンサルティング株式会社が発表した調査データでは、いわゆる成功と定義される「単年黒字化」に至る企業は20.8%。「累積黒字化」となると7.1%まで少なくなるとされています。

さらに、注目いただきたい点としては、各フェーズのスタック率。最もスタックしているのが、「ローンチ→単年黒字化」で52.6%が、このフェーズを越えられていないということがわかります。

製品やサービスをローンチはしたものの、単年の黒字化に至らず、クローズや事業撤退したというケースです。ここには一体どんな壁が存在しているのか?を次章で解説いたします。

img2出典:アビームコンサルティング株式会社「新規事業取り組み実態調査」
調査期間:2023年9月11日~13日
調査対象:直近5年間で企業において新規事業開発に関与した経験者
回答者数:620名
調査方法:Webアンケート

 製品ローンチ後に解決すべき課題とは?

製品をローンチ後、皆様ならまずは何から着手をされるでしょうか。BtoBのマーケティングでは「THE MODEL型」のマーケティングスキームの確立や、LPを使った広告プロモーションを思い浮かべる方が多くいらっしゃるかと思います。

ここでもう一つ、中小企業庁による「起業・創業の実態に関する調査」をご紹介いたします。

成長段階(創業期・成長初期・安定・拡大期)ごとの販路開拓における課題についての調査結果です。注目いただきたいのが、創業・成長初期における課題として、左の3つ「市場・顧客ニーズの把握」「新規顧客へのアプローチ」「自社の強みの見極め」の比率が高くなっている点です。創業期はもちろん、成長段階(プロダクトローンチ後)であってもこれらが課題として続いているということがわかります。

img3

出典:「中小企業のライフサイクル」(中小企業庁)(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap1_web.pdf)を加工して作成

 

 

これらの結果からわかるように、BtoBマーケティングの代表である「THE MODEL型」のマーケティングスキームの確立や、LPを使った広告プロモーションも重要なことの1つでありますが、まずはこれらの課題を解決するための取り組みが必要であるということです。

プロダクトローンチ後であっても市場・顧客ニーズを把握し、自社(プロダクト)の強みの見極め・磨き上げることで「市場とプロダクトをフィッティングさせていく」。

これこそが初期にやるべきこと「成功のために超えるべき壁」だと考えています。

img4  

新規事業のためのインサイドセールス成功事例

先ほどあったローンチ後に超えるべき「市場・顧客ニーズの把握」と「自社の強みの見極め・磨き上げ」について、インサイドセールスを活用することで成果を上げた製造メーカーA社様の新規事業における取組事例をご紹介いたします。

toB向けマーケティング事例

A社様は新規製品として、BtoBtoC製品をローンチしており、toCにおけるマーケティング活動は実施済でしたが、toB向けにはリファラルでのセールス活動のみとなっておりました。今後新規製品の拡大に向けてtoB向けのマーケティング活動を確立したいという与件のもとにプロジェクトが開始されました。

一方で、「チーム内にtoB向けの知見がない」「新規事業のためリソース(予算・人員)が限られている」「達成必須の売上目標がある」など、新規事業ならではの課題も顕在化している状況でした。

 

プロジェクトを進めるにあたっては、2つの問題点を共通認識として明らかしていきました。1つ目が「想定ターゲットに対して、どんなニーズ・課題があるのか?」、2つ目は「toB向けにはどんな売り方・訴求が適切なのか?」という点です。

新規製品・サービスの特性上、事前の調査などからマーケティング活動における戦略策定は行っているものの、まだ仮説段階であるという状況がほとんどかと思います。そういった状況の中、いかに数字目標を達成しつつ、上記のような仮説の精度を高めていくのかという点から、「インサイドセールスを活用したリード獲得」を実施しました。

プロジェクト成果

本プロジェクトでは、インサイドセールスを活用しリード獲得(アポ獲得)を行いながら、ターゲットとなりうる企業に対してヒアリングを実施することで仮説の精度を高めつつ、新たな仮説の立案や訴求方法の磨き込みといったことを目的として、いくつかの成果を上げることができました。

成果(1)業種ごとに製品とのFit&Gapが明らかに

当初想定する複数のターゲット業種に対してアプローチした結果、可能性のある業種と全くそうでない業種、または工夫次第でニーズがありそうな業種など、業種や企業セグメントによる差が数値として明らかになりました。初期段階では仮説であったターゲット業種や企業セグメントに関して、アプローチ結果から絞り込みを行うことができました。

成果(2)ニーズや検討する上での課題が具体化

ターゲット業種ごとに想定課題を事前に設定していたものの、各業種が本来ニーズとしている部分がどこか、導入検討する上でどういったポイントがボトルネックとなりうるかなど、より解像度を高めることに成功しました。これらも初期段階では解像度の低さが課題となっていたために、実際にインサイドセールスによってヒアリングをすることで獲得できた成果です。

成果(3)ニーズをもとにプロダクト側の改善

(2)で得た成果をもとに、当初想定していた訴求・売り方に対しても市場やニーズとのGapが明らかになりました。例えばニーズとはズレた訴求ポイントを押し出していたり、業界平均と比較して検討外の価格を設定した売り方をしたりしているなど、プロダクト側の改善に繋げることができました。

 

これらの(1)~(3)の成果に加え、プロジェクトの全体の成果としては

  • プロジェクト開始3か月で商談創出
  • 翌3か月で商談獲得率3.5倍

と数値面においても大きな成果を得ることができました。

 

つまり、これらはうまくリードを獲得しながら、「市場ニーズの探索」と「プロダクトの改善」により、「市場とプロダクトをフィッティングさせていく」ことで改善も含めた成果に繋がった事例だと考えています。

新規事業のためのインサイドセールス活用メソッド

最後に、市場とプロダクトをフィッティングさせる方法としてのインサイドセールスの活用メソッドについてご紹介いたします。

活用の最大のメソッドは「失注理由の探索」

結論から申し上げると、最大のメソッドは「失注理由の探索」です。

マーケティングや営業活動を立ち上げていく中でよくある判断軸として、アポやリードが「獲得できた」「できなかった」という二元論のみで終わってしまうケースがほとんどです。または、「獲得できた」ついては、成功パターンの踏襲という意味合いから要因分析を行うことはあるものの、「できなかった」側面の理由の深堀は後回しにされがちです。

ここで思い返していただきたい点として、「新規製品・サービスは初期仮説段階である」ということです。つまりは、製品自体がまだ市場にフィットしていない可能性があり、改善余地が十二分にあるということです。だからこそ、深めるべきは「失注理由」であり、失注の中にこそ、成功のためのヒントが隠されている可能性があります。

新規事業のための「失注分析」とは

深めるべき「失注理由」の分析の仕方についてご説明いたします。

インサイドセールスにおける失注分析のよくある例として、「予算なし」「今じゃない(時期違い)」「ニーズなし」といった形が多いと思います。こういった失注理由が間違っているわけではありませんが、新規事業で成功のヒントを見つけていくためにはこれだけでは足りません。先ほどのような失注理由に対して下記のように、それぞれさらにヒアリングを深め要因分解をしていく必要があります。

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ターゲット業種や製品・サービスによって、失注理由は様々異なりますので、インサイドセールスの結果を踏まえて日々、ヒアリング内容や項目を修正していき、失注理由の傾向をとらえていきます。こういった日々の調整やヒアリングはインサイドセールスならではの活用方法になりますので、うまく要因分解ヒアリング内容の設計を行うことで他の手段では得られない情報を顧客との対話の中から早期に獲得していくことができます

失注理由の傾向を捉えたのちに、各理由に対しての打ち手・改善策をそれぞれに設計し、実行に移します。ここでのポイントはマーケティング施策のみの改善策に閉じることなく、セールスやプロダクト側も含めて改善策を列挙し、実行に移していくことです。

何回か出てきているように「製品ローンチ段階では、製品自体がまだ市場にフィットしていない可能性」も十分にあります。そのため、プロダクト側も含めて改善に取り組む活動というのが非常に重要なポイントになります。市場の声を聞きながら改善できるシーンは多くはないため、是非インサイドセールスの強みである顧客の対話を有効活用し、改善に繋げていきましょう。

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最後に、これらの失注理由の探索と改善活動は繰り返し積み上げることが必要です。

一回のヒアリングや結果によって、全てがフィットできるということはありません。繰り返し実行し、積み重ねていくことで、着実に「市場とプロダクトのフィッティング」を実現することができます。地道な活動に聞こえるかもしれませんが、こういった取り組みこそが成功確率を上げ、かつ最短な道のりとなりますので、是非実践いただければと思います。

私たち電通B2Bイニシアティブでは、新規事業における活用も含め、インサイドセールスの戦略立案~実行まで幅広い支援を行っております。お悩みがございましたら、ぜひお気軽にお問合せください。