B2B Compass
「MAツールを使用したいけど、どんな種類がある?」
「使いやすいMAツールってどんなもの?コストも気になる……」
マーケティングの自動化を進める上で、ビジネスに最適なMAツールを活用することは重要です。しかしツールには数多くの種類があり、導入を進めるにあたって「ツールの選択」は悩みどころであるでしょう。
そこで今回は、企業ビジネスにパーソナライズしたMAツールの導入支援を行っている電通B2Bイニシアティブが、目的や機能別で比較しながらおすすめのツールをご紹介いたします。ツールの選択に迷われているご担当者様や経営者の方々はぜひご一読ください。
INDEX
MAツールとは、マーケティングオートメーションツール(Marketing Automation Tool)の略称で、企業のマーケティング活動を効率化し、自動化するためのソフトウェアやプラットフォームのことです。その多くがSaaS※1として提供されています。
ツールの機能は多岐に渡り、メールマーケティング、ソーシャルメディア管理、キャンペーン管理、リードスコアリング、データ分析など、リードジェネレーションからクロージングまで、あらゆるマーケティングプロセスをサポートします。
近年、デジタルマーケティングの進化とともに、MAツールの重要性はますます高まっており、競争の激しい市場で生き残るためにもツールの活用が大きな鍵となるでしょう。
※1 SaaS(Software as a Service)はクラウド上で提供されるサービス型のソフトウェアです。ユーザーはインターネット経由でアクセスして使用します。
MAツールの主な目的は、見込み顧客を効率的に育成し、顧客との関係を強化することにあります。リードジェネレーション、リードナーチャリング、リードスコアリング、そして顧客関係管理などのプロセスを自動化することにより、マーケティングチームがより効果的にターゲットにアプローチできるようにします。
ただ、上記で説明したMAツールの目的はあくまで一般的なものであり、実際は企業戦略と照らし合わせて定義していく必要があります。企業がMAを進める上での課題を明らかにすることで、MAツールの目的はパーソナライズされていくのです。
MAツールには多様な種類が存在し、企業のニーズに応じた選択が求められます。
一般的には、以下のような種類があります。
など
他にもユーザビリティやコスト(有料/無料)などでも種類分けでき、うまく活用することで、企業は効果的なマーケティング活動を展開し、競争力を高められます。
ここではMAツールの一般的な機能を解説します。
MAツールを活用することで、マーケティング活動は劇的に効率化されます。手動で行っていた煩雑なタスクを自動化でき、より戦略的な業務に時間を割くことが可能となるのです。
顧客のデータを収集し、それを利用してパーソナライズされたコンテンツやオファーを提供することで、顧客との関係を深化させることができます。2023年時点では、AIを使用した顧客のセグメンテーションも進んでいます。
MAツールはマーケティング活動のパフォーマンスを測定し、データ駆動型の意思決定をサポートすることも可能です。企業はデータに基づいて意思決定を行い、戦略を最適化することができます。
リード管理の面では、潜在顧客の行動を追跡し、適切なタイミングで効果的なアプローチを取ることが可能です。これにより、リードの育成と転換率の向上が期待できます。
顧客が企業との様々な接点で一貫した体験を得られるように、オムニチャネル※2のマーケティング戦略を支援します。CRM※3やSFA※4との連携は、顧客体験をさらに向上できるでしょう。
※2 オムニチャネル:あらゆるメディアを用いて販売を促進する取り組みのこと
※3 CRM(Customer Relationship Management):顧客関係管理
※4 SFA(Sales Force Automation):営業支援システム
MAツール名
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特徴
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導入コスト
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Active Campaign
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ステップメールプロセスの視覚化
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月額49ドル~(年間契約)
※無料トライアル有
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Adobe Marketo Engage
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全世界で導入企業数5,000社以上
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無料プラン~
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aimstar
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コーディング技術不要
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月額10万円~
※無料プラン有
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anybot
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LINEでのMA支援
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初期費用5万円、月額39,800円~
※無料トライアル有
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b-dash
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顧客管理最適化(データパレット)
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初期費用50万円、月額料金は要相談
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BowNow
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ABMテンプレート
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無料プラン~
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Dr. Marketing
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テンプレートで営業と連携
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初期費用30万円、月額3万円~
※無料トライアル有
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Eight Team
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名刺管理でマーケティング/営業支援
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無料プラン~
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Engage Cros
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既存アプリデータとの連携
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要相談
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ferret One
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CMSとの連携
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初期費用10万円、月額10万円~
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GENIEE MA
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未来予測で提案型メッセージ送付
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初期費用10万年、月額10万円
※無料トライアル有
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HIRAMEKI XD
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ECサイト・ネットショップを強化
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初期費用5万円、月額48,000円~
※無料トライアル有
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Hubspot
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様々な機能を無料で試験導入可能
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無料プラン~
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Kairos3
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ホットリードを営業と共有
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初期費用1万円、月額5千円~
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KARTE
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リアルタイムで自動対応
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要相談
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Liny
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LINEを活用した顧客管理
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初期費用49,800円、月額5千円~
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List Finder
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サポート体制の充実
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無料プラン~
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Mailchimp
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メールマーケティング機能特化
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連絡先500件まで無料
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Marketing Cloud
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AIを活用して顧客対応の最適化
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要相談
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Mazrica Sales Marketing
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マーケティングと営業の連携
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月額157,500円〜※無料プラン有
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MOTENASU
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LINEマーケティング利用可
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初期費用30万円、月額10万円~
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Oracle Marketing Cloud
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BtoC~toBまで大規模データを網羅
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要相談
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Probance
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AIによる顧客ニーズ予測
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初期費用50万円、月額18万円~
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SATORI
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匿名リードの管理
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初期費用30万円、月額148,000円
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SendinBlue
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低コストでメールマーケティング
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月額20ドル~※年間契約
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SHANON MARKETING PLATFORM
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イベントやセミナーとの連携
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初期費用10万円、月額料金は要相談
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Synergy!
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パーソナライズとCRM重視
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初期費用118,000円、月額15,000円~
※無料トライアル有
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Zoho
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CRM重視で顧客対応最適化
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月額1,680円~(年間契約)
※無料トライアル有
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カスタマーリングス
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顧客情報のセグメント強化
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要見積
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サスケLead
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対面接客情報の共有
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初期費用20万円、月額10万円程度
※無料トライアル有
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BtoBとBtoCのビジネスモデルでは、ターゲットとなる顧客やニーズが異なります。MAツールにはターゲットの特性に合わせた機能が求められます。
BtoBでは、MAツールのリードスコアリングや顧客管理ツールとの連携機能が重要になってきます。比較的長期に渡るマーケティングプロセスとなるため、リソースを割くべきリードの選定や取引データの蓄積/活用が大切です。
MAツールのBtoB向け機能はABM戦略※5の策定と実行を支援し、企業間の長期的な信頼関係構築を図る上で非常に有効です。
※5 ABM(Account Based Marketing)戦略:企業や団体を対象に進めるマーケティング戦略のこと
BtoCで重要になってくる機能は、パーソナライゼーションと自動対応です。企業が顧客に合わせたコンテンツを効率よく提供できるようになります。
BtoC向けのMAツール機能は、Eコマースのアップセル戦略やリテンションマーケティングにも活用され、顧客との関係深化に役立ちます。
マーケティングの各フェーズ業務を効率化させる機能に注目してMAツールを比較します。
リード獲得時には、MAツールの「告知機能」や「クロスチャネルエンゲージメント機能」が特に有効です。
リードナーチャリングでは、購入意欲がまだ低いリードを購入に近づけるための情報提供やコンテンツマーケティングが重要です。ナーチャリングプロセスにおいて適切なMAツールを活用することで、企業は購入サイクルの短縮やコンバージョン率の向上を図ることができます。
顧客セグメンテーションにおいて求められるMAツール機能は、データ分析機能と顧客の行動や属性に基づいた顧客分類機能です。MAツールの顧客セグメント機能はターゲットに合わせたマーケティング活動を可能にし、ROI向上に大きな役割を果たします。
再購入促進プロセスにおいてMAツールに求められるのは、顧客の購買履歴や行動データを分析してパーソナライズされたオファーを提供する機能です。
使いやすいMAツールは、導入時のトレーニングコストを削減するといったメリットもあります。状況に応じたカスタマイズも容易です。
「使いやすさ」はMAツール選定の重要な要素です。直感的な操作が可能なツールは作業効率を大幅に向上させます。
※6 LP(Landing Page):ユーザーが最初にたどり着いて観覧するページ
※7 UI(User Interface):ユーザーと接するポイント
HubSpot、 Kairos3、SHANONは、企業のMAツール導入目的に合わせ、柔軟にオプション機能を提供します。
MAツールの使いやすさを考える上で、モバイルでの操作/管理も比較要素として大切です。特にデジタルネイティブとして育った世代のスタッフにとって、スマホでスピーディに顧客対応が実現できることは大きな魅力といえます。
中小企業やスタートアップにとって、MAツールの導入コストは重要な選定基準です。選定する際は導入料金だけでなく、無料で使える機能、無料トライアルバージョン、月額や年額のサブスクリプション料金などを考慮し、総合的に判断していきましょう。
MAツールは月額の使用料を設定している場合が多いです。ここでは特に、月額使用料の低いMAツールをまとめています。
一般的にMAツールは、SaaS(Software as a Service)モデルで提供されることが多く、月額や年額で利用料金を支払う形が主流となっています。
企業のニーズに応じてカスタマイズ可能なMAツールを開発するサービスプロバイダーは存在し、特定の機能を有した独自のMAツールを買い切り型で契約することも可能です。
買い切り型のMAツールを探している場合は、買い切り型オプションが利用可能かどうかを個別にプロバイダーへ確認する必要がありますので調べてみましょう。
MAツールは社内リソースを用いた独自開発も可能です。
中国最大手ECプラットフォームであるAlibaba、世界最大のデータベースソリューションカンパニーである米国のOracleなどは豊富な社内リソースを活用し、独自のMAツールを開発しています。それでは、自社開発のMAツールと既成のMAツールはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、既製のMAツールを導入する際のプロセスを解説します。
MAツールの導入は、単にツールを選ぶだけでなく、企業のニーズや目標に合わせた運用を考慮することが重要です。適切なプロセスを経て導入することで、MAツールの持つポテンシャルを最大限に活用することができます。
企業は何のためにMAツールを導入するのか、どのような課題を解決したいのかを明確にする必要があります。具体的には、現状のマーケティング活動の課題や将来的な目標をリストアップしていきます。MAツールの導入目的がハッキリしていると、後のプロセスもスムーズに進められます。
ニーズの特定で挙げた項目を解決するために最適なMAツールを選びます。機能や価格、サポート体制、拡張性など、多角的な視点からツールを比較・検討することがポイントです。
本記事では「ターゲット」、「ビジネスシーン」、「使いやすさ」、「コスト」などで比較したMAツール情報を掲載しています。参考にしていただければ幸いです。
MAツールの導入・運用に必要な人員や予算を決めていきます。特にデータ分析やCMS機能を使いこなすには専門的な知識と技術が必要になりますので、スタッフの導入教育や再教育の予算も見積もりましょう。
既存のシステムやツールから新しいMAツールへデータを移行し、統合を行います。新旧データの整合性を保ち、セキュリティを確保しながらスムーズに移行しましょう。MAはデータ駆動の取り組みのため、データの一貫性や正当性が損なわれるとマーケティング効果が低下します。
MAツールの初期設定と企業のニーズに合わせたカスタマイズを行います。
ユーザーセグメントの設定やEメールテンプレートの作成、リードスコアリングのルール設定など、実用化に向けてのプロセスです。MAは組織的な取り組みであるため、MAチームスタッフで設定情報の共有を進めながら実施します。
MAツールの運用を円滑に開始するためのスタッフへの導入教育を実施します。スタッフは実際のツールを使用し、ユーザビリティを確認していきます。MAツールの使用法だけでなく、顧客の個人情報取扱に対する教育も同時に進めましょう。
MAツールの運用を正式にスタートします。MAツールに対する定期的な評価を行い、必要に応じて機能のカスタマイズやアップデートを実施。MAツールのパフォーマンスを常に高いレベルで保ち、MA成功につなげていきましょう。
MAツールを導入する際には、いくつかの重要な注意点があります。
長期的な成功につなげるためにも、信頼性の高い運用を心がけましょう。
日本の個人情報保護法や欧州のGDPR※9、米国のCCPA※10など、データ保護法の施行は世界各国で進んでいます。MAにおいても、顧客データの取り扱いには細心の注意が必要です。適切なデータ管理を行うことはMAツールのセキュリティ面を向上させると同時に法的リスクを回避することにもつながります。
※9 GDPR(General Data Protection Regulation):欧州におけるデータ保護規則
※10 CCPA(California Consumer Privacy Act):カリフォルニア州消費者プライバシー法
導入コストは初期費用や月額費用だけでなく、スタッフのトレーニングコストや運用コスト(人件費)、さらには事業展望に応じた追加のオプション料金も含まれます。企画責任者は全てのコスト要因を明確にし、将来的な拡張や変更を考慮したトータルコストを算出する必要があります。
過度な機能を追求することは避けるべきです。必要な機能を明確にし、自社のビジネスニーズに合致したものを選定することが重要です。多機能なツールは魅力的に映りますが、実際に活用できる機能に絞ることで、運用の複雑さを軽減できます。
導入するMAツールと既存のシステムやデータベースとの互換性を確認しましょう。蓄積された顧客データ形式(CSV, XML, JSONなど)、文字コード(Shift_JIS, UTF-8など)、データ構造(テーブル構造など)が導入するMAツールと互換性が無い場合は変換プロセスに大きなコストが発生する可能性があります。導入企画段階で既存のデータベースの仕様を確認しておくことが大切です。
トラブルや疑問が発生した際に迅速な対応が得られるよう、サポート体制をベンダー側にしっかり確認しておきましょう。トラブル時に迅速な対応をするために不可欠であり、サポート体制が不十分だとトラブルの解決が遅れ、事業に悪影響を及ぼすリスクが高まります。
企業成長と変化に応じてMAツールも最適化させる必要があります。その際に重要になってくるのがMAツールの拡張性です。MAツール企画段階で拡張性、特にオプション機能を掌握しておきましょう。オプション機能が用意されてなくても、ベンダー側で開発が可能な場合もあります。ベンダー側でMAツールの機能開発が可能かを確認することも大切です。
自社開発の利点としては、企業のニーズに完全に合致したカスタマイズが行えることです。
特に業界特有の要件や内部プロセスに特化した機能を持たせることができるため、競争優位性を高められます。自社で開発するにはマーケティングチームと開発チームの密接な協力が不可欠です。適切なコミュニケーションとプロジェクト管理を徹底しましょう。
なお、開発には高度な技術力が求められ、データ収集、分析、オートメーション機能など多岐にわたる要素を統合できるプログラミング能力が必要です。時間とコストもかかりますし、市場の変化に対応するための柔軟性も求められます。自社でMAツールを開発することは可能ですが、慎重な計画と戦略が必要となるでしょう。
自社でMAツールを開発することは可能ですが、成功にはいくつかの重要な要素を考慮する必要があります。
MAツールを自社で開発する際の最初のステップは、企画・要件定義です。
ツールの目的やターゲットユーザー、必要な機能を明確にする必要があり、競合分析や市場調査を行い、自社のビジネスニーズに最適な要件を設定することが重要です。
次に設計フェーズでは、要件定義を基にシステムアーキテクチャを構築し、データフローやユーザーインターフェースの詳細を描きます。ここでの設計が後の開発効率に大きく影響します。
続いて、MAツールを実際に開発していきます。設計された仕様に基づいて実際のプログラムを作成しましょう。フロントエンド、バックエンド、UI/UX※8デザイン、コンテンツ制作分野を同時に進めるため、ます。ディレクターとなるスタッフはタイムスケジュール表やビジネスモデルキャンバスなどのフレームワークを用いて、開発チーム全体に情報の共有を図ります。
※8 UX(User eXperience)はユーザー体験です。
開発が完了したら、テスト段階に進みます。バグや不具合がないかをチェックし、機能が要件を満たしているかを確認しましょう。テストはユニットテスト、統合テスト、ユーザーテストなど多段階で行われます。
必要に応じ、ペネトレーションテストを実施してツールの脆弱性を見つけ出すことも大切です。X-Force RedやRapid7など、外部のセキュリティ評価企業に依頼し、客観的な安全性を追求しましょう。
デプロイはMAツールをスタッフが実際に利用できる状態にすることを指します。実際の顧客データを入れる前に架空の試験データを用いて動作を確認し、ダッシュボードのカスタマイズや各機能のトレーニングを進め、実際の運用に備えます。
最後に運用・保守です。ユーザーからのフィードバックを基に改善を行い、新しい機能の追加や不具合の修正を続けます。技術の進化に対応して定期的なアップデートを行うことも重要で、ツールの利用価値を高め、長期的なビジネスの成功につなげることができます。
MarketoやHubSpot、Oracle Marketing Cloud、Salesforce 、ActiveCampaignなど、世界的に大きなシェアを持つMAツールの導入事例をまとめています。
GE Healthcareは米国シカゴを拠点としたヘルスケアソリューションを提供する企業です。医療機器の製造からヘルスケアITソリューションまで幅広い事業を展開しています。
GE Healthcareは「Adobe Marketo Engage」を導入し、顧客エンゲージメントの向上を図りました。ツール導入後にUI変更を実施し、数カ月で公式サイトの訪問者を300%増加させることに成功。同時に多くのサイト訪問者のコンバージョンも分析し、多角的な接地ポイントからの顧客アプローチも可能にしました。
Portland Trail Blazersは米国NBAのプロバスケットボールチームです。スポーツビジネスの拡大にも力を入れており、ファンベースの事業をオレゴン州ポートランドから太平洋北西部全体に拡大を図っています。この目的を達成するために、Trail Blazersは「Adobe Marketo Engage」を導入し、新市場へのアプローチを進めました。
Adobe Marketo EngageとMicrosoft CRMデータを統合し、ファンの現在地を正確に把握することで最適なタイミングでコンバージョンを狙うことに成功。成果として、シーズンチケットの更新率が96%に達し、単一ゲームのチケット販売が30%増加しています。
Linux FoundationはHubSpotを導入して、メールマーケティングの効率を大幅に向上させました。特にセグメンテーション機能を活用し、ワークフロー自動化による業務効率化を果たしています。
また、セールスとマーケティングチームが同じCRMプラットフォームで情報共有を進め、効果的な協力体制の構築をしています。データ駆動の意思決定プロセスも導入され、セールスチームは最も収益を生み出すホットリードに焦点を当てることができるようになりました。
Crunch Fitnessはニューヨーク市で設立されたスポーツクラブです。2023年現在、300以上のクラブを世界中にフランチャイズ展開しています。フランチャイズ展開は2010年に急加速し、既存のマーケティングツールに機能不足が指摘されるように。この課題を解決するために、同社ははHubSpot Marketing Hub Enterprise、Sales Hub Professional、およびCMS Professionalを導入。
販売、マーケティング、コンテンツ管理を一つのプラットフォームに統合し、フランチャイズ所有者と事業情報をリアルタイムで共有することが可能になりました。また、「Gym Shorts」という隔週のニュースレターを立ち上げ、Crunch Fitnessコミュニティの強化に成功しています(無料トライアルの申し込みを28%増加)。
ITセキュリティ企業であるESETは、Oracle Marketing Cloudを導入してグローバル戦略を成功させています。2023年時点でESETは200カ国以上でB2BおよびB2Cソリューションを提供。
ESETはグローバル展開を進める上で、Oracle Eloqua Marketing Cloud ServiceとOracle Responsys Marketing Platform Cloud Serviceを統合し、異なる市場でのITセキュリティソリューションの販売プロセスを最適化しています。
Clarksはオンラインコンバージョン率を向上させるため、MAツールの多変量テスト機能を利用しました。同社はOracle Marketing Cloudを使用し、オンラインで靴を購入するプロセスを顧客に合わせてパーソナライズさせています。
多変量テストでは「バリアント」と呼ばれる異なるWebサイトデザインやコンテンツのバージョンを同時にテストして、どの組み合わせが最も効果的かを判断。一度に最大160のバリアントをテストすることで、Eコマースに最適化したサイトを設計しました。
フランスのメディアグループであるFrance Televisionsは、Oracle Marketing Cloudを導入してマーケティングキャンペーンの効率化を図り、広告収益を増加させました。この取り組みでは顧客データセグメンテーション機能を活用し、メールの開封率を1.3%から2.6%に倍増させています。
また、視聴者に送るパーソナライズされたメールの開封率も2倍になりました。Oracle BlueKaiを利用したセグメンテーションを通じて、顧客のライフスタイル、興味、嗜好などに基づいた分析能力も高めています。
ブエノスアイレス大学(UBA)の人工知能研究所(AI LAB)は、ActiveCampaignを利用して効率的な学生管理システムを構築しました。
導入前は学生管理業務を30名のスタッフで行っており、年間150,000ドルのコストがかかっていましたが、導入後は2人のパートタイム従業員のみで学生管理を実施できるようになり、コストも年間7,000ドルまで圧縮することに成功しています。さらにUBAはMAツールを用いた入学プロセスの効率化も行っており、従来かかっていた入学に関わる事務を500%高速化させました。
SpotifyはSalesforceのMAツールを導入し、販売チームとの連携、マーケティング業務の効率化を成功させました。キャンペーンデータの収集と活用では、業務スケジュールを数ヶ月から7日未満に短縮し、生産性の向上を果たしています。MAにより、マーケティングキャンペーン自体の数も年間で5倍に増加させました。
他にもWebコンテンツをパーソナライズさせ、CTR(クリック率)を53%向上させ、集客パフォーマンスの改善もしています。
FILAはイタリア発のスポーツ用品メーカーです。Salesforceを利用してB2Bマーケティングを一新し、2020年には約10%の売上増加を達成しました。
データ駆動型のアプローチでBtoBバイヤーのエンゲージメントを最適化し、契約プロセスにEコマースショッピングのようなUXを構築。MAツールを用いてBtoBバイヤーにパーソナライズした商品情報を提供し、Webサイトで的確に表示させます。最適なタイミングで特定の商品のプロモーションを実施できるようになり、その対応は自動化されました。
MAツールの多くがSaaSとして提供されており、最新技術の導入やアップデートは非常にスピーディに行われます。
ここではAIによるデータ分析/対応、通信インフラの発展による変化、デジタルデバイス(IoTやXR)などの次世代のコア技術がMAツールにどのような影響をもたらすのかを解説します。
AI(Artificial Intelligence)は特に注目されている次世代のコア技術で、機械学習やディープラーニングの進歩は、予測/分析の精度を大きく向上させます。MAツールにAIが実装されることで、ユーザーの将来的な行動や購買傾向をより正確に予測することが可能になります。
次世代の通信技術であるBeyond 5Gや6Gの導入は、データの伝送速度と容量を飛躍的に向上させます。MAツールが次世代通信を利用できるようになると、大量のデータ処理やアナリティクスをリアルタイムで行うことが可能となり、瞬時の顧客対応が実現できます。データ駆動のMAツールにとって非常に相性の良い技術といえるでしょう。
スポーツイベント中の特定の瞬間(例えばゴール時)に、関連商品やサービスのプロモーションをターゲットオーディエンスに即座に配信することも可能であり、視聴者の興奮や感動を直接ビジネスチャンスに変換していきます。
IoT(Internet of Things)とは、インターネットに接続された物理デバイスやシステムを指します。MAツールが日常で使用する物のデータを利用できるようになれば、顧客のライフサイクル全体にわたるエンゲージメントを強化できるでしょう。
家電やウェアラブルデバイスから収集したデータを利用して、オンラインでパーソナライズされた商品推薦やオファーを提供することも可能です。例えば、スマートウォッチのデータを利用して、ユーザーの健康状態や運動習慣に適した商品やサービスをリコメンドします。
MAツールは様々な企業のマーケティングプロセスを自動化、最適化します。すでに多くの企業がSaaSとしてMAツールを利用し、BtoCやBtoBドメインで成果をあげています。
本記事では、事業に最適なMAツール概要、具体的な顧客やビジネスシーンに応じたMAツールを解説しました。MAツールの選択でお迷い中のマーケティング担当チーム、経営者の方々に向けて、お役に立てる情報となれば幸いです。
電通B2Bイニシアティブでは企業ビジネスにパーソナライズしたMAツールの導入を支援いたします。MAツールの種類、機能、コストなど、具体的なご提案をさせて頂きます。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
B2B Compass編集部
B2Bのビジネス課題を解決に導く、コンパス(羅針盤)となるような情報をお届けします。