
BtoBビジネスの成功に欠かせない「ブランディング」。競合との差別化が難しく、価格競争に巻き込まれる中で、改めて注目が集まっています。しかし、効果的な戦略を立てるのは一筋縄ではいきません。
必要性は理解しているものの、どこから始めるのが最適なのか悩むことも多いでしょう。本記事では、成功事例5選を紐解きながら、ブランディングを成功に導くための共通ポイントを詳しく解説します。
また、陥りがちな失敗を避けるための注意点も取り上げ、競争優位性を築くためのヒントもご紹介します。
INDEX
BtoBブランディング成功事例5選
まずは、主に事業・サービス領域において、BtoBブランディングに取り組み成功した5つの企業をご紹介します。
事例1.サービスコンセプト×顧客体験で第一想起を獲得
ある名刺管理サービスを展開するSaaS企業は、高い認知度を誇りながらも、「現場の利便性を上げるだけのツール」と見なされる壁にぶつかっていました。経営や業務課題の解決策として、サービスが想起されにくい状況にあったのです。
そこで同社は、顧客の事業課題の解決策と自社サービスを結び付けるため、有料メディアでのタイアップ記事やイベントを実施。顧客との接点となるチャネルを戦略的に活用し、ブランドの活性化を図りました。
イベントを通してブランド価値やサービスコンセプト体験を積極的に提供した結果、「法人向け名刺管理」の市場で第一想起ポジションを獲得するまでに至っています。
事例2.自社の「真の価値」をターゲットに合わせて可視化
優れた技術力と実績を持ちながら、市場や求職者にその存在が正しく認知されていない建設企業がありました。いわば「隠れた優良企業」の状態です。
この状況を打破するため、「認知向上を図りたい事業」に特化したブランド戦略を展開します。
まずは社内のキーパーソンへの取材を敢行し、自社が提供している真の価値を徹底的に言語化しました。そのメッセージをWebサイトから営業資料、採用スライドに至るまで一貫して反映。主要なステークホルダーに対し、一貫したブランドメッセージを届けることを目標に、事業の強みや特徴を可視化しました。
結果、大手デベロッパーからの引き合いが急増。さらに採用面でもポジティブな反応が見られ、採用コスト削減という実利をもたらしました。
事例3.「指名される」ためのコミュニケーション設計で市場地位を確立
BtoB市場において「名前を知られている」状態と「指名される」状態には大きな隔たりがあります。ある印刷サービスを展開する企業は、この距離を縮めるためにわかりやすい利便性価値をブランド名とセットで徹底的に刷り込みました。
KPIに「指名検索」を設定し、一般名詞ではなく自社のブランド名で検索される状態を作り出すためのコミュニケーション戦略を設計。CM施策やわかりやすい強みの打ち出しにより、課題解決時の第一想起獲得を達成しています。
同時に、初回無料キャンペーンなど利用ハードルを下げるための戦略や、顧客体験向上のための施策にも注力。顧客に対するブランド価値の醸成・強化と、わかりやすい強みを打ち出したコミュニケーション設計により、競合の追随を許さない市場地位を築き上げています。

事例4.新たな概念の提唱によるブランドの再定義
ハードウェア中心のビジネスモデルが限界を迎えていたあるIT企業は、自社を「機器メーカー」から「ソリューションプロバイダー」へと作り変える大きな賭けに出ました。そこでブランディングにより、ソリューションプロバイダーとしての地位確立を図ることとなります。
具体的には、ブランドの核となる概念を提唱するところから始まり、合わせて強みである「自社開発のAI技術」を「ブランド概念」と連動させる形で訴求。合わせて自社の支援領域に関連する展望の発信強化に取り組みます。概念の普及に伴い、自社技術の訴求最大化に繋がる戦略を構築し、市場におけるリードポジションの確立を狙いました。
この「ソリューション」を軸にしたブランド構築と地位確立の取り組みを通して、「ソリューションプロバイダー」への転換に成功しています。
事例5.全社レベルでの明文化プロセスを経たリブランディング
市場の成熟に伴い、サービスが似通ってくる「コモディティ化」は避けられません。あるマーケティングサービスを展開する企業は、「保守的で古い」という自社サービスのイメージが、差別化を阻んでいることに危機感を抱いていました。
そこで同社が選択したのは、全社員を巻き込んだブランドの再定義でした。新しいタグラインやロゴの策定プロセスに全部門が参加。社員アンケートを通して現状のブランドイメージを可視化した上で、自社のアイデンティティを抽出し、ブランド価値・ブランド像を明文化していきました。
取り組みを通して、ブランドに関わる各社員が、ブランド価値・ブランド像を共通言語として話せるよう体系化していた点が特徴です。
ボトムアップの明文化・体系化プロセスを重視したことで、社内の反発を招くことなく、設立の節目に「新しい自社の姿」を社内外に浸透させることに成功しています。
成功事例に共通するBtoBブランディング成功のポイント
BtoBブランディングの成功事例には、いくつかの共通する重要なポイントがあります。これらのポイントを押さえることで、単なる商品やサービスの提供を超えた、顧客の共感を呼ぶ強力なブランド戦略を構築できます。
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概念の提唱
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ターゲットの「課題感」を先に言語化
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ブランディングのKPIを「売上・受注」に直結
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長期・一貫したコミュニケーションでブランドを蓄積
これら4つの成功要因は、それぞれ独立したものではなく、相互に連携しながらBtoBブランディングの効果を最大化する役割を果たしています。以下で、それぞれのポイントについて具体的な事例や戦略を詳しく解説していきます。
ポイント1.概念の提唱
BtoBブランディングにおいて、自社サービスの機能説明を前面に出すことは一見自然な戦略に思えますが、実は競合との価格やスペックによる正面衝突を招きやすく、差別化が困難になるリスクがあるのです。そこで注目されるのが、業界や市場の常識を根本から書き換える新しい概念を提唱するアプローチです。
この戦略は、単なる商品の特徴を列挙するのではなく、顧客がまだ気づいていない潜在的な課題や業界全体の問題点に対して、新たな視点や価値観を示すことにより、競合とは異なる独自のポジションを築くことを目指します。
以下は、概念の提唱がBtoBブランディングにもたらすメリットです。
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競合との差別化:市場の既成概念を刷新することで、価格やスペック競争から脱却し、独自のポジションを確立できる
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顧客共感の獲得:顧客の潜在的なニーズや課題に焦点を当て、共感を呼び起こすことでブランドへのロイヤルティを促進する
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ブランド価値の向上新しい概念が市場に浸透することで、ブランド自体の価値と影響力が高まる
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長期的な競争優位:独自の概念を持つことで、他社が模倣しにくい持続可能な競争優位を築くことができる
成功事例では、企業が自社の技術やサービスを単なる商品説明に留めず、独自の概念を提唱しています。この戦略により、顧客の意識変革を促し、価格競争から脱却しながら、ブランドの認知と信頼を大幅に向上させているわけです。
こうした概念提唱は、単なる広告や商品説明とは異なり、顧客の課題認識を根本から変えるため、結果的に競合との差別化が明確になり、価格競争からの脱却を実現します。これがBtoBブランディング成功の重要なポイントの一つであることを理解しましょう。

ポイント2.ターゲットの「課題感」を先に言語化
BtoBブランディングにおいて、顧客が自覚していない、または言語化できていない課題を企業側が先に名付けて可視化することは、ブランド価値向上の重要な戦略です。
多くの企業は顧客が抱える潜在的な問題に気づかず、そのために最適なソリューションを提供できていない場合があります。ここで企業が積極的に課題を言語化し提示することで、顧客との強い共感を生み出し、ブランドへの信頼を獲得できます。
このアプローチの主なメリットは以下の通りです。
- 顧客の潜在的なニーズの掘り起こし:顧客自身が気づいていない問題を明確にすることで、潜在ニーズを表面化させる
- 共感の獲得:課題を具体的に示すことで、顧客は「自分たちの問題を理解してくれている」と感じ、ブランドへの親近感が高まる
- 差別化の実現:単なる商品説明に留まらず、顧客の課題解決に焦点を当てることで、競合との差別化が可能になる
- マーケティング戦略の明確化:課題を具体化することで、ターゲット設定やメッセージ設計がより的確になり、効果的なマーケティング施策に繋がる
例えば、ITサービス企業が「業務効率の低下」という漠然とした問題を「データ連携不足による業務停滞」と具体化し、その解決策としての自社サービスを明確に示すことで、顧客の共感と信頼を獲得するなどが考えられます。
このように、BtoB企業が顧客の課題感を先に名付け・可視化することは、ブランドの成功に直結する重要なポイントです。顧客の潜在ニーズを的確に捉え、共感を生むメッセージを発信することで、ブランド価値を高め、事業成長を促進します。
ポイント3.ブランディングのKPIを「売上・受注」に直結
BtoBにおける『指名される』状態とは、単に検索されることではなく、稟議や社内検討の場で最初からベンダー名が指定される状態を指します。この状態が実現すると、競合比較のフェーズを飛ばして商談に入れるため、受注率と営業効率に直接影響します。だからこそ、この状態をどう測定・管理するかというKPI設計が重要になります。
BtoBブランディングにおいて、KPIを単なるブランド認知や好感度の向上に留めず、具体的な売上や受注などの事業成果に直結させることは成功の重要な要素です。多くの企業がブランディング施策の効果測定を認知率や広告接触数などの指標で終わらせてしまいがちですが、これでは経営層への説明責任や投資対効果の可視化が困難になります。
売上や受注件数をKPIに設定することで、ブランディングの成果が事業成長に直結していることを明確に示せ、予算継続や経営層の理解が得やすくなります。具体的には、以下のようなKPIが効果的です。
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KPI項目
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説明
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期待される効果
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| 受注件数の増加 | ブランド認知からの問い合わせや商談成立の件数を測定 | 売上増加に直結し、ブランド価値の向上を示す |
| 指名検索数 | ブランド名やサービス名での検索回数を計測 | 顧客のブランドへの関心度とロイヤルティの高さを示す |
| 解約率低下 | 既存顧客の契約継続率を分析 | ブランド信頼の高さが顧客維持に寄与していることを表す |
| アポ取得率 | ブランド認知が高まった結果として営業活動でのアポイント獲得率が向上しているかを、ブランディング施策との相関で評価 | ブランド認知が営業効率を高める効果を示す |
これらのKPIは単独で用いるのではなく、売上や受注といった最終成果に結び付けて評価することが重要です。例えば、指名検索数の増加が受注件数の増加に繋がっているかを分析し、施策のPDCAサイクルを回すことで、より効果的なブランディング戦略を構築できます。
このように、BtoB企業のブランディング戦略では、KPIを売上や受注に直結させることで、投資対効果を明確化し、経営層の理解と支持を得ることが成功の鍵となります。これが持続的な事業成長とブランド価値向上を実現するポイントです。
ポイント4.長期・一貫したコミュニケーションでブランドを蓄積
BtoBブランディングの成功においては、短期的なキャンペーンや断続的なメッセージ発信だけではなく、長期的かつ一貫したコミュニケーション戦略が不可欠です。
ブランドは一度認知された後も、顧客の記憶に残り続け、信頼を築き上げるためには、継続的なメッセージの発信が必要となります。特にBtoBの企業間取引では、購買決定に複数の関係者が関わるため、ブランドの価値やメッセージが一貫して伝わることが重要です。
長期・一貫したコミュニケーションによって得られる主なメリットは以下となります。
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ブランド記憶の定着:繰り返し同じメッセージや世界観を伝えることで、顧客の記憶にブランドが深く刻まれ、認知度が持続的に向上
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信頼の蓄積:一貫したメッセージは企業の信頼性を高め、顧客の安心感やロイヤルティを醸成
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ブランド価値の向上:時間をかけて積み上げられたブランドイメージは、競合との差別化を強固にし、事業の成長を支える
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購買意思決定の促進:複数の意思決定者に対して一貫したメッセージが届くことで、購買プロセスがスムーズになり、受注率の向上に繋がる
近年、顧客が生成AIを活用してベンダー候補を調査・絞り込むケースが急増しています。AIが参照するのも結局は蓄積されたコンテンツと評判であるため、長期・一貫した情報発信の重要性はむしろ高まっていると言えます。
したがって、BtoB企業が持続的なブランド価値向上を目指すには、年単位で同じメッセージや世界観を一貫して発信し続ける長期的なコミュニケーション戦略が不可欠です。これにより、ブランドが顧客の心に深く根付き、競争優位性を確立することが可能となります。
BtoBブランディング実施の注意点・失敗を避けるポイント
BtoBブランディングを成功に導くためには、成功事例に学ぶポイントを踏まえつつ、実際の実施段階で陥りやすい失敗や注意点を理解し、回避することが不可欠です。ここでは、特に重要な5つの注意点を具体的に解説します。
成功のポイントの裏返しでもありますが、実務段階で実際に躓きやすいパターンとして、改めて以下の5点を確認してください。
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「スペック訴求」から抜け出し概念競争に参加することが重要
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「誰に向けたブランディングか」が曖昧なまま走ることは危険
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KPIを「認知率」だけに設定せず売上との接続を設計することが重要
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単発キャンペーンで終わらせる「打ち上げ花火型」にならないようにする
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ブランドとリアルの乖離を避ける
これらの注意点を踏まえ、BtoB企業は戦略的にブランディングを実施し、成功事例に学んだポイントを確実に自社の実践に活かすことが求められます。特に、経営層への説明や社内理解の促進、顧客との信頼関係構築に注力することが、持続的な事業成長とブランド価値向上に繋がるのです。
注意点1.「スペック訴求」から抜け出し概念競争に参加することが重要
BtoBブランディングにおいて、多くの企業が陥りがちな失敗の一つに「スペック訴求」への過度な依存があります。商品やサービスの機能、価格、技術的特徴を前面に押し出す戦略は、一見合理的に思えますが、実際には競合他社との比較競争を激化させ、価格競争やコモディティ化のスパイラルに巻き込まれるリスクが高いのです。
このような状況では、企業は差別化が困難になり、ブランド価値の向上や持続的な成長が阻害されます。そこで重要になるのが、「概念競争」に参加すること、つまり市場や業界の常識を刷新し、新しい価値観や問題定義を自社が提唱する戦略です。
具体的に概念競争を検討する上では、以下のポイントが重要です。
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コモディティ化のスパイラルからの脱却:単なる機能や価格の比較ではなく、市場の根本的な課題を再定義し、競合と差別化する
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概念の提唱者としてのリーダーシップ:業界の常識や既存の価値観を刷新し、顧客の潜在的な課題に対して新しい解決策を示す
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市場の問題定義を自社で行う戦略:自社が市場の問題を定義し、競合に対して先行優位を築くことで、後追いを許さない
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独自の価値観・視点の浸透:新たな概念を積極的に発信し、顧客の共感と信頼を獲得し、ブランドの差別化を実現する
また実際に概念競争に参加するには、最適な戦略を考えていく必要があります。主に、以下の4つの考え方を踏まえた戦略が重要です。
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土俵の再定義: 既存の市場評価モノサシを捨て、「何が重要か」という価値判断の基準そのものを自社の強みに合わせて書き換える
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独自のカテゴリー化: 世の中に定着している一般名詞ではなく、自社固有の概念に名前を与え、新しい市場ジャンルとして独立させる
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必然性の創出:「なぜ今、その概念が必要なのか」という時代背景や社会的な文脈を付与し、導入を「選択」ではなく「必然」に変える
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認識の独占: 特定のキーワードや課題解決の手法において、「その領域の第一権威」としてのポジションを社内外で一貫して示し続ける
まとめると、BtoB企業がブランディング成功を目指すには、スペック訴求に固執するのではなく、独自の概念競争に積極的に参加し、市場の問題定義を自社で担うことが不可欠です。これにより、競合との差別化を図り、持続的なブランド価値の向上と事業成長を実現できます。

注意点2.「誰に向けたブランディングか」が曖昧なまま走ることは危険
BtoBブランディングにおいて、「誰に向けたブランディングか」を明確にしないまま施策を進めることは大きなリスクを伴います。
特にBtoBの購買プロセスには複数の意思決定者(DMU:意思決定ユニット)が関与しており、それぞれが異なる関心や課題を持っているものです。この複雑な構造を理解せずに「万人受け」を狙ったメッセージを発信すると、結果として誰にも響かない中途半端なコミュニケーションとなり、ブランド価値の向上や受注拡大に繋がりません。
まず前提として、誰に届けるかを考える際には、企業単位でのICP(Ideal Customer Profile:理想顧客企業像)の定義が起点になります。業種・規模・課題の類似性からICPを絞り込んだ上で、その企業内の意思決定に関わる複数の人物像(DMU)を設計することが、現在のBtoBブランディングの標準的なアプローチです。
以下の表は、BtoBのDMUにおける主な関係者とその特徴をまとめたものです。これを踏まえた上で、それぞれのターゲットに適切に刺さるメッセージ設計が重要です。
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DMUの関係者
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関心・課題の特徴
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効果的なメッセージ例
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| 現場担当者 | 日々の業務効率や使いやすさを重視 | 「使いやすく業務効率を大幅に改善」 |
| マネージャー | チームの生産性やコスト管理に関心 | 「生産性向上とコスト削減を実現」 |
| 経営層 | 事業成長やROI(投資対効果)を重視 | 「事業成長を加速し、投資効果を最大化」 |
| IT部門 | セキュリティやシステム連携の信頼性を重視 | 「高いセキュリティ基準とシームレスな連携」 |
このように、BtoBのブランディング戦略では、ターゲットごとに異なるニーズや価値観に合わせたメッセージを用意し、それぞれに最適化されたコミュニケーションを行うことが成功の鍵です。逆に、誰に向けたものか曖昧なメッセージは、顧客の共感を得られず、ブランディングの失敗に繋がる可能性が高いことを理解しましょう。
明確なターゲット設定により、メッセージの精度が向上し、リソースの無駄遣いを防ぎ、効率的にブランド価値の向上と事業成果の最大化が可能になるでしょう。BtoB企業はこの点を十分に意識し、戦略的にブランディング活動を設計することが求められます。
注意点3.KPIを「認知率」だけに設定せず売上との接続を設計することが重要
BtoBブランディングにおいて、KPIを「認知率」や「好感度」といった指標だけに設定してしまうことは、施策の真の効果を把握できず、経営層の理解や予算継続に悪影響を及ぼす大きなリスクがあります。
ブランドの認知度や好感度は重要な中間指標ですが、これらだけでは売上や受注などの具体的な事業成果との結び付きが不明確であり、ブランディング投資の正当性を示しにくくなるためです。
特に経営層は、限られた経営資源を投下する施策に対して、投資対効果が明確に見えることを強く求めています。認知率や好感度の向上だけをKPIにしていると、ブランディング施策の成果が事業成績にどのように貢献しているか説明が困難となり、結果として予算の継続が難しくなります。
具体的には、以下のようなKPIを設定し、認知率と売上などの事業成果との連動を分析・検証することが重要です。こちらは「成功のポイント3.ブランディングのKPIを「売上・受注」に直結」の見出しでも同じものをご紹介しております。
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KPI項目
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説明
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期待される効果
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| 受注件数の増加 | ブランド認知からの問い合わせや商談成立の件数を測定 | 売上増加に直結し、ブランド価値の向上を示す |
| 指名検索数 | ブランド名やサービス名での検索回数を計測 | 顧客のブランドへの関心度とロイヤルティの高さを示す |
| 解約率低下 | 既存顧客の契約継続率を分析 | ブランド信頼の高さが顧客維持に寄与していることを表す |
| アポ取得率 | ブランド認知が高まった結果として営業活動でのアポイント獲得率が向上しているかを、ブランディング施策との相関で評価 | ブランド認知が営業効率を高める効果を示す |
これらのKPIを単独で評価するのではなく、認知率との相関関係を分析し、売上や受注への影響を具体的に把握することが重要です。例えば、指名検索数の増加が受注件数の増加に繋がっているかを定期的に検証し、施策のPDCAサイクルを回すことで、より効果的なブランディング戦略を構築できます。
また、経営層への説明においても、認知率だけでなく事業成果に結び付くKPIを示すことで、投資対効果の可視化が可能となり、予算確保や継続的な支援を得やすくなるでしょう。
このように、BtoBブランディングのKPI設計では、「認知率」だけに留まらず、売上や受注などの具体的な事業成果との接続を設計し、施策の効果を多角的に評価・改善することが成功の鍵となります。
注意点4.単発キャンペーンで終わらせる「打ち上げ花火型」にならないようにする
BtoBブランディングにおいて、単発のキャンペーンで終わらせる「打ち上げ花火型」の施策は避けるべきです。短期間で大きな注目を集めるものの、ブランドの記憶定着は長期的かつ一貫したメッセージの繰り返しによってのみ実現します。単発の施策を1〜2回実施して終わってしまうと、顧客の記憶には残りにくく、ブランド価値の向上や信頼構築には繋がりません。
このような施策は、ブランド構築の本質である長期的なコミュニケーション戦略と相反し、結果的にブランド価値の低下や顧客離れを招くリスクがあります。
予算の制約から短期間で施策を打ち切るケースは多く見られますが、その結果として以下のようなリスクが発生します。
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記憶の断絶:一時的な施策では顧客のブランド記憶が定着せず、ブランド認知が持続しない
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信頼の形成不足:繰り返しのメッセージ発信がないと、顧客の信頼構築が進まない
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ブランド価値の減衰:断続的な露出はブランドイメージの一貫性を損ない、価値低下を招く
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購買決定の妨げ:複数の意思決定者が関わるBtoBでは、継続的な情報提供がなければ購買プロセスが停滞しやすい
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経営層の理解不足:一過性の施策は効果測定が困難で、予算継続の説得材料になりにくい
継続的なコミュニケーション戦略を実践することで、ブランドは顧客の記憶に深く根付き、信頼と価値を長期的に築くことが可能になります。BtoBブランディングの成功には、年単位で一貫したメッセージを繰り返し発信し続ける戦略が不可欠です。これにより、顧客との強固な関係構築と持続的な事業成長が実現します。
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顧客の心にブランド価値が浸透し、競合との差別化が強化される
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信頼関係の構築が進み、顧客ロイヤルティが向上する
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経営層や社内の理解も深まり、ブランディングへの投資が継続しやすくなる
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事業成長に直結する受注や売上の増加が期待できる
予算の都合で施策を早期に終了することは短期的にはコスト削減に見えても、長期的にはブランド価値の毀損と事業成長の阻害を招くため避けるべきです。BtoB企業は一貫したメッセージを年単位で継続的に発信し、ブランド価値と信頼を資産として積み上げる戦略を採用することが成功の鍵となります。

注意点5.ブランドとリアルの乖離を避ける
BtoBブランディングにおいて、ブランドのメッセージや広告・CMで掲げた価値と、実際のサービス品質や営業対応が乖離してしまうことは大きなリスクです。この乖離は顧客の期待を裏切り、信頼低下や解約増加に直結するため、企業にとって深刻な問題となるでしょう。
広告やCMはブランドの理想像を描き、顧客に強い印象を与えます。しかし、実際のサービスや対応がその期待に応えられない場合、顧客は失望感を抱き、ブランドへの不信感が拡大します。特にBtoBの取引は長期的な関係構築が前提であり、契約更新や継続利用に悪影響を及ぼすことは避けなければなりません。
この問題を防ぐためには、以下のポイントが重要です。
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社内の情報共有と連携:マーケティング部門と営業、カスタマーサポートが密に連携し、広告で掲げる価値と実際のサービス内容の整合性を常に確認する
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顧客の声のフィードバック:顧客からのフィードバックを迅速に収集し、サービス改善や対応品質の向上に反映させる
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現場の教育と意識統一:営業担当者やサポートスタッフにブランド価値の理解を徹底し、一貫した対応を促す
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品質管理の徹底:サービス品質を定期的に評価・改善し、広告で約束した価値を実現する体制を整える
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経営層のコミットメント:ブランドとリアルの乖離を経営課題として認識し、組織全体で取り組む姿勢を示す
これらの対策により、ブランドの価値が顧客体験と一致し、信頼を維持・向上させることが可能です。BtoB企業は、ブランド戦略と実務が乖離しないよう、組織横断的な連携を強化し、顧客満足度と解約率低下の両面で成果を上げることが求められます。
成功事例を元に、自社のブランディング戦略を見直そう
ブランディングは単なる広告戦略ではなく、企業の長期的な成長に欠かせない重要な要素です。まずは自社の強みや顧客ニーズを再確認し、それを元に新たな概念を提唱することがおすすめです。次に、具体的なKPIを設定し、施策の効果を測定することで、経営層の理解を得ながら持続的にブランディングを進めていくことができます。
ぜひこの記事を参考に、あなたのビジネスのブランディング戦略を見直し、次のステージへと進むための一歩を踏み出してください。
わたしたち電通B2Bイニシアティブは、BtoB事業の成長を加速させるデマンドジェネレーションとブランディングのプロフェッショナルです。
電通グループの強みである広範なネットワークと豊富なデータ資産、そしてBtoBに特化した専門チームの知見を活かし、以下の領域をトータルで支援します。
- 事業戦略の立案
- 顧客体験(CX)の最適化
- マーケティング/営業活動の支援
- DX導入
わたしたちの核にあるのは、広告コミュニケーションで培ってきた「人の心を動かす力」です。この力を活用し、経営・人材・組織・事業といったあらゆるレイヤーにおける課題に向き合いながら、具体的な施策の実行から最終的な成果を分析・改善し続けるためのサイクルの創出まで伴走します。
単なる「施策の提供」にとどまらず、強いブランドづくりや売れる仕組みの構築を通じて、企業の持続的な成長と信頼性の高いパートナーシップの実現を目指します。
デジタル領域における、BtoBに特化した多様なご支援が可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。
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PROFILE
B2B Compass編集部