• 2024/11/20
  • 2025/09/04

【設計例付き】リードナーチャリングの効果的なシナリオ設計のコツ

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リードナーチャリングとは、見込み顧客を顧客へと育て上げるプロセスのことで、ナーチャリングを成功させるためには効果的なシナリオを設計することが大切です。

しかし、シナリオの作成がなぜリードナーチャリングの成功をもたらすのか、どのように設計すれば良いのか、どのポイントを重視すべきなのかを理解できていないと、リードナーチャリングの真の力を引き出すのは難しいでしょう。

そこで本記事では、リードナーチャリングを成功させるためのシナリオの設計方法や、ポイントについて解説していきます。
具体的な設計例も交えてご紹介しますので、これからシナリオ設計を始める方や、すでに始めているが改善の糸口が掴めていない方はぜひご参考ください。

リードナーチャリングでシナリオ設計が必要な理由、その役割とは  

リードナーチャリング(Lead Nurturing)とは、見込み顧客を育て上げ、最終的に製品やサービスの購買につなげるプロセスのことを指します。
このプロセスにおいて、顧客とのコミュニケーションの質を向上させたり、見込み顧客のニーズに対する理解を深化させるためにもシナリオ設計は重要な役割を果たします。

シナリオ設計の主な役割

役割
詳細
ニーズに合わせた情報提供 見込み顧客の興味や関心に沿ったタイミングで適切な情報を届けられる
コミュニケーションの一貫性維持 社内で対応がバラバラになるのを防ぎ、メッセージの統一が可能になる

成果の安定化・効率化 担当者の属人的な対応から脱却し、仕組み化による安定的な成果が期待できる
顧客理解の深化 ステージごとの顧客行動を整理し、対応内容を最適化できる

 

シナリオ作成を行うことで効率的かつ安定した成果の向上が目指せる

シナリオを緻密に設計することで、見込み顧客のニーズに合わせた情報提供やサービスの提案が可能になり、リードの購買意欲を効率的に高めていけるでしょう。

見込み顧客とのコミュニケーションの質を維持するだけでなく、リードとの関係を長期的に持続させたり、リピート購入や口コミによる新たなリードの獲得へとつなげたり、安定した成果の向上を目指せます。

リードナーチャリングにおけるシナリオ設計は、単なる戦略的なアプローチではなく、企業の成長を支える重要な要素といえるのです。

リードナーチャリングの鍵は、見込み顧客の状態に合わせたアプローチにある

リードナーチャリングの成功には、見込み顧客の状態に合わせたアプローチが最重要課題となります。

実際に、以下のようなリードのステージごとに、提供すべき内容や接点の手段が異なります。

リードの状態
提供すべき内容例
主な接点手段
認知段階 業界課題やトレンド紹介 メールマガジン、ブログ記事
課題整理段階 解決策の提案、ホワイトペーパー 資料DL、ウェビナー
比較・検討段階 自社の強み、事例紹介 メール、営業フォロー
購入直前・決定段階 価格情報、導入サポートの提示 個別商談、見積もり提示

 

例えば、顧客一人ひとりのニーズに対応するべくメンバーそれぞれが独自の感覚で動いてしまうと、同じ顧客に対して異なるメッセージを送り続けてしまうリスクが生じます。

その結果顧客は混乱し、エンゲージメントを失う可能性も。
そのため「この状態の顧客にはこうアプローチをする」と、メンバーに共通認識を持たせるためにもシナリオ設計が必要となるのです。

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シナリオ設計は、ただルールを作るのではなく、それぞれのリードの状態に合わせて最適なアプローチを模索し、それを全体で共有するための重要な工程です。
顧客一人ひとりに対する理解を深め、ニーズに応じた最適なアプローチを提供していきましょう。

リードナーチャリングシナリオの設計方法   

リードナーチャリングシナリオの設計は見込み顧客を購買行動に導くための重要なプロセスですが、その設計は一筋縄ではいかないもの。
どのようなコンテンツを提供し、いつ、どのような手段で伝えるのかという点を戦略的に考える必要があり、また個々の見込み顧客に合わせたカスタマイズも重要な要素となってきます。

シナリオ設計に必要な基本の4要素

まず押さえるべきは、ナーチャリングシナリオを構成する基本の4要素です。

要素
概要
誰に 対象となる見込み顧客の人物像(ターゲット)
何を 提供するコンテンツ(情報・資料・提案など)
いつ コンテンツを届けるタイミング(フェーズや行動に応じた適切な時期)
どのように メッセージを届ける手段(メール・SNS・Web広告などのチャネル選定)

 

この4要素を基にシナリオを設計し適用していくことで、リードのエンゲージメントを高め、コンバージョン率の向上を目指せます。

・誰に(ターゲット)

まずはじめに具体的なターゲットを明確にしましょう。顧客の人物像、行動、動機、ニーズなどを深く理解することは、適切なマーケティングメッセージを作成するための基盤となります。

・何を(コンテンツ)

続いてどのようなコンテンツを提供するか、その内容を定めましょう。ターゲットの関心や問題、ニーズに対応し価値のある情報を提供することが求められます。

・いつ(タイミング)

コンテンツを提供する最適なタイミングを理解することも重要な要素です。
これはターゲットの購買サイクルや行動パターンに基づくものであり、適切なタイミングでコンテンツを提供できれば、リードの関心を引きつけるだけでなくエンゲージメントも高められます。

・どのように(チャネル)

またどのようにメッセージを伝えるか、最適なチャネルを選択することも重要です。
ターゲットが最も頻繁に利用し、エンゲージメントが高いと予想されるメディアやプラットフォームを選択することで、リードナーチャリングの効果を最大化できます。

シナリオ設計のフロー

シナリオの設計フローとしては、大きく以下の流れとなります。

  1. リード情報の整理
  2. カスタマージャーニー設計
  3. 基本の4要素に沿ってシナリオ設計

1.リード情報の整理

まずは既存のリードデータを収集・分析・分類し、ターゲットの行動やニーズを明確にします。

整理すべき情報例
内容の具体例
デモグラフィック情報 業種、役職、企業規模、所在地など
行動履歴 資料DL履歴、Webサイト閲覧履歴、イベント参加履歴など
興味・関心 閲覧したコンテンツのジャンル、過去の問い合わせ内容など

 

こうした情報を元に、リードごとのプロファイルを作成しましょう。

2.カスタマージャーニー設計

見込み顧客がどのようなプロセスで購買に至るかを可視化します。
各ステージにおける課題やニーズを把握し、それに対応したタッチポイントを設定します。

ステージ
顧客の状況
必要なアプローチ
認知フェーズ 自社や課題にまだ気づいていない 業界情報や課題提起コンテンツ
課題明確化フェーズ 自身の課題を認識し始めている 解決策の比較、事例紹介など
検討フェーズ 具体的なソリューションを検討中 自社サービスの優位性、価格、導入支援情報
決定フェーズ 購入・導入の意思が固まりつつある 実績紹介、FAQ、営業の個別フォロー

 

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3.基本の4要素に沿ってシナリオ設計

ここまで整理した情報とジャーニーに基づき、以下のようにシナリオを構築していきます。

  • 【誰に】業種別・役職別などでパターン化
  • 【何を】フェーズ別に最適なコンテンツを準備
  • 【いつ】各行動のタイミングに合わせた配信設定
  • 【どのように】チャネル別にコンテンツ設計・出し分けを実施


基本的にこのようなフローで設計できれば要点をしっかり押さえたシナリオが設計できるため、リードの効果的なナーチャリングはもちろん、より高いコンバージョン率も目指せるはずです。

成功するシナリオ設計の「3つのポイント」

リードナーチャリングを成功させるには、以下の3つの設計ポイントを押さえることが鍵となります。

ポイント
概要
シンプルな設計から始める 複雑な仕組みにする前に、効果のある要素を見極めて磨き込む
ペルソナ設計とカスタマージャーニーの連動 顧客像を明確にし、適切なタイミングと内容を定義する
スコアリングの活用 顧客行動を可視化し、精度の高いナーチャリングとKPI管理を実現

 

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

シンプルな設計から始めてみる

一つ目は、シンプルな設計から始めてみることです。

むやみに複雑化させる必要はありません。どのアクションが顧客に対して最も効果的であるかを把握することで、次第にシナリオを洗練していけるようになります。

ポイント

  • A/Bテストを活用して効果を比較
  • 最も反応が高かったチャネル・タイミングを優先的に活用

カスタマージャーニーに合わせてペルソナを設計

二つ目は、カスタマージャーニーに合わせてペルソナを設計することです。

ペルソナは見込み顧客の一般的な特性やニーズ、行動パターンを反映した架空の顧客像のこと。カスタマージャーニーに合わせて設計できれば、ターゲットとする顧客群の理解度を深められます。

シナリオ設計を成功させるためには、見込み顧客の輪郭を正確に捉えることが極めて重要です。

特にペルソナ設計は、見込み顧客の性格や価値観、ニーズなどを理解し、それに基づいて最適なアプローチを設計するための重要な手段となります。見込み顧客の輪郭を捉え、スムーズにシナリオを設計していきましょう。

ペルソナ設計で明確にするべき要素例

項目
内容例
業種・職種 BtoB製造業/購買担当者
抱えている課題 生産性向上、新規取引先の開拓など
価値観 コスト意識が高く、実績や信頼性を重視
情報収集方法 オウンドメディア、業界紙、展示会など


連動設計のポイントとしては、「このフェーズにいるこのペルソナには、○○というコンテンツを、○○のチャネルで届ける」といった形でマッピングすることが重要です。

スコアリングの実施

またスコアリングも、シナリオ設計における重要な要素の一つです。

スコアリングは見込み顧客の行動や属性を数値化し、それに基づいて優先順位を付ける方法のこと。

顧客の興味やニーズに合わせて最適なアプローチを計画できるだけでなく、各リードに対し適切なタイミングでコミュニケーションを取れれば、効果的なリードナーチャリングにつながるでしょう。

またスコアリングは顧客の状況を数値ベースで可視化できるため、具体的なKPIの設定や達成状況の追跡にも役立ちますし、必要に応じて戦略調整も行えます。

スコアリングの主な対象項目

項目カテゴリ
スコア対象の例
属性情報 役職、業種、企業規模、地域など
行動情報 メール開封、資料DL、セミナー参加など
滞在時間 サイト内ページの閲覧数や滞在時間

 

img4さらにMA(マーケティングオートメーション)ツールの活用も、より高精度なスコアリングに役立ちます。

大量のデータを自動分析したり、個々のリードのスコアを算出できたりするため、MAツールを使うことで時間と労力を大幅に節約可能。より精度の高いリードナーチャリングを実現させたい方は、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

※スコアリングには、一定のリスト量が必要となります。

ポイントを踏まえたシナリオ設計例3選

リードナーチャリングでは、顧客が必要とする情報をタイミングよく提供すること、そして顧客との関係を深化させることが重要です。ここでは具体的なシナリオ設計例を3つご紹介いたします。

(1)資料請求をしたユーザーに対して電話でのヒアリングの質を高める

例えば資料請求をしたユーザーの多くは、なんらかの課題を抱えている見込み顧客である可能性が高いです。

ユーザーが資料を必要とするタイミングはどのようなときでしょう。
それは商品に関して興味・関心があるか、もしくは比較検討をしているタイミングであると考えられます。

そのタイミングで電話でのヒアリングを行い、資料請求をした背景やユーザーが抱える課題を把握するなど的確なアプローチができれば、見込み顧客からの信頼を上げられるだけでなく、その後のウェビナーやアポイント設定の際の確度も大幅に高まるはずです。

(2)セグメントメールを送信してウェビナーの集客数を増加させる

通常のメルマガに加え、対象を絞り込んで送信する「セグメントメール」を送信してウェビナーの集客数を増やすやり方もあります。

具体的な設計内容としては、1年以内にサイトへのアクセス履歴がある対象者に向けてウェビナーの案内メールを送信したり、ランディングページへの着地履歴がある対象者に再案内のメールを送信するというもの。

実際に行った企業の中には、ウェビナー参加者に対し「通常のメルマガ経由で参加した人」と「セグメントメール経由で参加した人」の比率を集計したところ、セグメントメール経由で参加した人の集客数を55%上積みできた事例も存在します。

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(3)過去に失注した顧客に再アプローチを図る

過去に失注した顧客に対し、最新の情報を送ることもシナリオ設計として有効です。

一度失注しているとはいえ、過去に一度購入を検討していたことから課題感はマッチしており、有力な見込み顧客である可能性が高いと考えられるためです。

失注してしまったのは、「コストが見合わない」「導入を検討していたタイミングが悪い」といった例が一般的に考えられます。

そのため最新情報を送りながらアプローチを続けることで、再度検討してもらえる可能性が高いと考えられます。アクションのあった見込み顧客に対し、再検討のタイミングを逃さないよう、シナリオを抽出しておきましょう。

下記のようなトリガーポイントを設定し、営業担当と連携することで、受注可能性を高めます。

シナリオ例

  • 直近1か月でのメール開封率
  • メール内のURLクリック回数
  • メール送信後のメディア記事閲覧回数

 

リードナーチャリングのシナリオ設計でよくあるQ&A

Q1:シナリオ設計は複雑でなくても大丈夫ですか?

A:はい、シンプルな設計から始めることが推奨されます。効果が見えることで徐々に改善・複雑化できます。

Q2:ペルソナ設計はどの程度詳細に作るべきですか?

A:購買行動や課題が反映される程度の詳細さで十分です。過剰に複雑にすると運用が難しくなります。

Q3:スコアリングを導入するメリットは?

A:リードの状況を数値化することで優先順位が明確になり、最適なタイミングでアプローチできます。

Q4:MAツールは必須ですか?

A:必須ではありませんが、スコアリングやデータ分析の効率化・精度向上には有効です。

 

ポイントを押さえたシナリオ設計で、リードナーチャリングを成功に導く

見込み顧客を購買につなげるためには、顧客ニーズに合わせたアプローチが重要となり、これを効率的に行っていくにはシナリオ設計が欠かせません。

顧客にはさまざまなニーズがあり、さまざまな段階を踏むためシナリオ設計を複雑に考えてしまう方もいるかと思われますが、実際シナリオはシンプルで洗練されていることが肝心です。ぜひ本記事を参考に、シンプルかつ効果的なナーチャリングシナリオの設計を検討してみてください。

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B2B Compass編集部

B2B事業支援最大化のための「ブランディング」と「デマンドジェネレーション」を提供する「電通B2Bイニシアティブ」プロジェクト所属メンバーで運営しています。B2B事業グロースに関する多様な実績を持つメンバーが、プロの視点からマーケティング、セールスなどの課題解決に役立つ情報を提供しています。

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