「顧客の行動を視覚的に理解したい」
「顧客が製品購入に到達するまでのプロセスを明らかにしたい」
そんなマーケティング担当者の声に答えるツールがファネルです。
本記事ではファネルの概要や特徴、種類、ファネル活用時のポイントなどを分かりやすく解説します。
INDEX
ファネルとは?意味と重要性
ファネル(Funnel)は顧客が製品やサービスの購入に到達するまでのプロセスを図式化したものです。一般的には広い入口(顧客の認知)から狭い出口(最終的な購入)へと進むピラミッドチャートやインフォグラフィックとして描かれます。
ファネルは製品やサービス認知、興味・関心、検討・比較、購入の各フェーズで構成されます。一方で、ファネルは各企業戦略に合わせたカスタマイズやリソースの配分を実施する必要があります。
電通B2Bイニシアティブは企業のファネル導入をサポートいたします。ファネル導入の際はお気軽にご相談ください。
顧客の行動とファネルの関係性
まず、ファネルの上部では、認知度向上が主な目標です。この段階では、顧客はまだ製品やサービスについて詳しく知らないため、ブログ記事、ソーシャルメディア、広告などを通じて広範囲に情報を提供します。ここでの顧客の行動は、主に情報収集が中心です。
次に、ファネルの中部では、興味を持った顧客がさらに詳細な情報を求めます。この段階での顧客の行動は、比較検討や評価です。ウェビナー、ホワイトペーパー、ケーススタディなどのコンテンツが有効です。これらは、顧客が自社の製品やサービスを他社と比較し、深く理解するために役立ちます。
最後に、ファネルの下部では、購入意欲の高い顧客に対して、最終的な意思決定を促すためのアプローチが求められます。ここでの顧客の行動は、具体的な問い合わせや見積もり依頼、試用などです。デモ、無料トライアル、詳細な製品説明などが効果的です。
このように、顧客の行動はファネルの各ステージで異なるため、それぞれのステージに応じた戦略を練ることが重要です。各ステージで適切なコンテンツやアプローチを提供することで、顧客の行動を正しい方向に導き、最終的な購入に繋げることができます。ファネルの理解と顧客行動の分析は、効果的なマーケティング戦略を構築する上で欠かせない要素です。
ファネルの目的
ファネルの主な目的は顧客の購買プロセスを明確にし、その各フェーズでの顧客行動や離脱を把握することにあります。
ファネルを通じて顧客の行動パターンを視覚化し、マーケティングの具体的な改善点を見つけ出します。マーケティング戦略を立てる際に非常に有効です。
ファネル分析の重要性とメリット
ファネル分析は、マーケティングや営業活動の効率を高めるために不可欠な手法です。この分析により、顧客がどのステージで離脱しているのか、どのステージでどのようなアクションが必要かを明確に把握できます。
例えば、多くの顧客が認知段階で離脱している場合、その原因を特定し、対策を講じることができます。また、各ステージでのKPI(重要業績評価指標)を設定し、進捗をモニタリングすることで、リアルタイムに問題を発見し、迅速に対応することが可能です。これにより、リソースの無駄を最小限に抑え、最適なマーケティング投資が行えるでしょう。
また、ファネル分析を活用することで得られるメリットは多岐にわたります。まず、顧客の行動を詳細に理解することで、ターゲット層に最も効果的なマーケティング戦略を立案できます。これにより、広告コストの削減やコンバージョン率の向上が期待できるでしょう。ほか、各ステージでの顧客のニーズや障壁を把握することで、製品やサービスの改善点を発見し、顧客満足度を高めることができます。
さらに、ファネル分析はチーム間の連携を強化し、データに基づいた意思決定を支援します。営業チームとマーケティングチームが同じデータを共有することで、一貫した戦略を実行でき、組織全体のパフォーマンスが向上するでしょう。最終的に、ファネル分析を効果的に活用することで、売上の増加だけでなく、顧客のロイヤルティ向上やリピート購入の促進にも寄与します。
ファネルの特徴
• 視覚的表現
• 明確なフェーズ
• データ中心
視覚的表現
ファネルは多数の潜在顧客から最終的な購入者へと進む流れを視覚的に描き出します。顧客の購買プロセスを一目で理解できます。
明確なフェーズ
ファネルは顧客の行動を認知から購入まで明確なフェーズに分けます。各フェーズで何が起こっているかを具体的に把握できます。
データ中心
ファネルでは各フェーズの顧客数や行動をデータとして収集します。具体的な数値に基づいて戦略を最適化することが可能です。
類似ツールとの比較
ファネルに似たマーケティングツールとしてカスタマージャーニーマップやAIDAモデルなどがあります。顧客行動を視覚化するポイントは共通していますが、目的や視点が異なります。
カスタマージャーニーマップ
ファネルと同様に、製品やサービスを購入するまでのプロセスを視覚化するツールです。顧客目線に立った購買プロセスを明らかにしていきます。
AIDA/AIDMAモデル
AIDAはAttention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Action(行動)の頭文字を取ったものです。AIDMAはAIDAにMemory(記憶)の要素が加わります。一連のマーケティングコミュニケーションのプロセスを表します。
またコンテンツマーケティング時代に即した新しいモデルとして「DECAX(デキャックス)」というものもあります。DECAXはDiscovery(発見)、Engagement(関与)、Conversion(転換)、Advocacy(推奨)、eXperience(体験)の5つのステージで構成され、顧客が商品やサービスに出会い、購入し、さらにその経験を他人に伝えるまでの一連のプロセスを表します。
ライフサイクルマーケティング
顧客が製品やサービスを認知してからリピート顧客やブランドのアドボケート※になるまでのプロセスを追跡する方法です。ファネルと同様に顧客の行動をフェーズごとに分けて考えることができます。
※アドボケートは自発的に企業やブランドに対して好意的な発信や推奨をしてくれる人です。
ファネルの種類
ファネルには各フェーズや視点の違いからいくつかの種類があります。詳しく見ていきましょう。
パーチェスファネル
パーチャスファネル(購買ファネル)は特に購入の意思決定プロセスや購入行動に焦点を当てたマーケティングツールです。TOFU(Top of the Funnel)、MOFU(Middle of the Funnel)、BOFU(Bottom of the Funnel)の3つのフェーズに分けられます。
TOFU(Top of the Funnel)
ブランドや製品の認知度を高めるフェーズです。広範囲のオーディエンスに対して情報を提供し、見込み客をファネルの次フェーズに引き込みます。ブログ記事、ソーシャルメディア投稿、動画などが活用されます。
MOFU(Middle of the Funnel)
既にブランドや製品に興味を持っている見込み客を対象に、信頼関係を築いていくフェーズです。顧客は比較検討段階に入り、他社製品やサービスとの違い、ソリューション情報を求めるようになります。 ウェビナーやホワイトペーパーなどを通じて、より具体的で価値のある情報を提供することが大切です。
BOFU(Bottom of the Funnel)
製品やサービスの購入を検討している見込み客を対象に、購入の決定を促すことが目的です。無料トライアル、デモ、割引クーポンなどを提供し購入/契約につなげます。
インフルエンスファネル
インフルエンスファネルは特にソーシャルメディアやコンテンツマーケティングの分析で使用されます。購入後の顧客の行動を分析することで、リピート購入や口コミなどの施策を考えることができます。
発信(Broadcast)
ブランドや製品のメッセージを広く発信します。可能な限り多くの人々にブランドや製品の存在を知らせます。拡散性のあるソーシャルメディアが多く利用されます。
共有(Engage)
オーディエンスとの対話や関与を促進します。ブランドや製品についての意見を共有し、ディスカッションを促すことで、オーディエンスとの関係を深めます。
継続(Sustain)
オーディエンスとの関係を維持し、関心を継続させます。定期的なコミュニケーション、新しいコンテンツの提供、特別なオファーやプロモーションなどが有効な手段です。
ダブルファネル
ダブルファネルは購買までと購買以降のプロセスを統合したファネルです。顧客の認知から購入、リピート購入に至るまでの全体的な流れを捉えます。顧客の行動やニーズをより深く理解し、それに対応した戦略を立てることが可能になります。
リード管理の効率化にも有効です。マーケティングが生成したリードを、セールスがフォローアップするフレームワークを提供します。リードの質を高め、コンバージョン率の向上を進めていきます。
ファネル活用のポイント
ファネルは、顧客の購買プロセスを理解し、効率的にマーケティング施策を実行するための重要な手法です。主には「顧客がどのように行動するのか」を詳細に把握することが重要ですが、他にもさまざまなポイントがあります。
• ターゲットオーディエンスの理解
• パーソナライゼーション
• マルチチャネル戦略
• データ駆動の意思決定
• 顧客の声を活用する
ターゲットオーディエンスの理解
ファネルの各フェーズで顧客のニーズと行動を理解することは非常に重要です。ファネル導入段階からマーケティングチームで情報の共有を図りましょう。
パーソナライゼーション
一般的なメッセージよりもパーソナライズされたメッセージの方が顧客の関心を引きます。ファネルの各フェーズではCRMやMAツールを使用して、パーソナライズされたメッセージを作成/送付しましょう。
マルチチャネル戦略
顧客は様々なチャネルを通じてブランドと接触します。特に、「認知」フェーズにおいてマルチチャネル戦略は重要です。ウェブサイト、ソーシャルメディア、メールはもちろん、実際の店舗などあらゆるチャネルを活用しましょう。
データ駆動の意思決定
ファネルの各フェーズで収集されるデータを活用して、戦略を調整し、最適化させます。A/Bテスト、顧客の行動分析、コンバージョン率の追跡などで顧客行動をより正確に掌握し、マーケティングチームの意思決定に役立てます。
顧客の声を活用する
ファネルの最終フェーズである購入/契約後も、顧客のフィードバックやレビューを収集し、製品やサービスの改善につなげることが大切です。顧客満足度の向上だけでなく、新たな顧客を獲得するための信頼性の向上にもつながります。
ファネル導入時の注意点
ファネル導入時には、いくつかの重要な注意点を押さえておくことが成功への鍵となります。
• 顧客行動の複雑性
• 過度な一般化
• データの誤解釈
• 適切なツールの選択
• 継続的な最適化
顧客行動の複雑性
ファネルチャートの構造はシンプルですが、実際の顧客の行動は一定ではありません。顧客がファネルの各フェーズを行き来することを認識し、その動きに備えることが重要です。
過度な一般化
ファネルは一般的な顧客の行動を表すモデルであり、全ての顧客が同じニーズを持つわけではありません。ファネルを適用する際は顧客の特性を理解した上で、パーソナライズされたアプローチが求められます。
データの誤解釈
ファネルの各フェーズで収集されるデータを正しく解釈することが重要です。データの誤解釈は誤った戦略を導く可能性があります。
適切なツールの選択
ファネルを効果的に管理するためには適切なツールの選択が大切です。CRMツールやMAツール、データ分析ツールなど、最適なツールを選びましょう。
電通B2Bイニシアティブはファネル効果の測定に最適なビジネスツールの導入をサポートいたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。
継続的な最適化
ファネルは一度設定して終わりではありません。市場環境や顧客行動の変化に対応するために、継続的にファネルを最適化していきましょう。ビジネスツール、顧客からの直接的なフィードバックなどを活用します。
ファネル分析に役立つ3つのツール
ファネル管理ツールは、デジタルマーケティングにおいて顧客の行動を効率的に追跡し、最適化するための強力な手段です。ここでは、最新のファネル管理ツールについて紹介し、それぞれの特徴と利点を解説します。
• ウェブ分析ツール
• CRMツール
• MAツール
ウェブ分析ツール
ウェブ分析ツールはウェブサイトの訪問者の行動を追跡し、どのページや機能が最も効果的であるかを理解するのに役立ちます。
Google Analyticsは世界中で最も広く使用されているウェブ分析ツールです。訪問者の行動を詳細に追跡し、ファネル分析を行う上で有効です。Adobe Analyticsも高度な分析機能を提供し、大規模な企業や複雑なウェブサイトでよく使用されます。
CRMツール
顧客との関係を管理し、顧客がファネルのどのフェーズにいるかを追跡するのに役立ちます。
Salesforceは世界的に広く使用されているCRMツールです。リード管理、セールスフォースオートメーション、顧客サービスなどの機能を提供します。Zoho CRMは小規模から中規模のビジネスに適したCRMツールです。リード管理、セールスフォースオートメーション、顧客サービスなどの機能を提供します。
MAツール
MAツールはマーケティングの自動化ツールです。ファネルの各フェーズでは顧客エンゲージメントの効率化を支援します。
Marketoはメールマーケティング、リード管理、ROI分析などの機能を提供します。HubSpotはオールインワンのマーケティングプラットフォームです。MA、CRM、コンテンツ管理などの機能を提供します。
ファネルの最適化事例2選
ファネルの最適化事例は、実際のビジネスシナリオでどのようにファネルが改善され、成果を上げたかを示す貴重な情報源です。ここでは、具体的な事例を通じて、その効果的な手法を解説します。
Saas企業のファネルを活用した課題特定
あるSaas企業では、事業成長率が伸び悩んでいることをきっかけに、ファネル分析を実施。ファネルを通じてどの段階に問題があるのかを原因追及しました。その結果、ツールに関連したブラウザの拡張機能をユーザーが利用しているかどうかで、CV(コンバージョン)状況が違うことが判明しました。そこでブラウザの拡張機能について訴求を強化したところ、リテンションが増加したそうです。
eコマース企業のファネルを活用した改善検証
また、あるeコマース企業では、ファネルを活用した改善検証を実施。例えば送料に関して検証してみると、プランによって購入段階ファネルでの離脱状況に差があることが判明しました。この差を改善すべく、購入金額によって無料配送を提供することに。これがうまくいき、注文数が改善前より増加したそうです。
ファネルを導入して、ステージに合わせた最適なマーケティング戦略を図ろう
ファネルは顧客行動を視覚化し、購入までのプロセスを明確にするマーケティングツールです。マーケティングチーム内で顧客評価を共有する際にも非常に有効です。
本記事ではファネルの概要や特徴、種類、ファネル活用時のポイントなどを分かりやすく解説しました。企業様のファネル導入時にお役に立てる情報となれば幸いです。
電通B2Bイニシアティブでは皆様のビジネスに最適化されたファネル導入をサポートいたします。導入計画から実用まで、幅広くソリューションを提供させて頂きます。ファネルに関するご質問はお気軽にご連絡ください。
PROFILE
B2B Compass編集部