北米におけるインテントデータを活用したマーケティングトレンド その2ー電通B2Bイニシアティブ

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北米におけるインテントデータを活用したマーケティングトレンド その2

北米におけるインテントデータを活用したマーケティングトレンド その2

前回の記事でインテントデータについての基本をご紹介し、マーケティングでの実践についてご紹介を始めました。今回の記事では、引き続きその実践と活用法についてご紹介していきます。

カスタマイズされたコンテンツジャーニーの提供

データに基づくコンテンツ(インフォームドコンテンツ)

トップマーケターの90%が、パーソナライズがビジネスの収益性に大きく貢献していると述べています。では、インテントデータを使って、どのようにコンテンツを個別に最適化できるのでしょうか。

ポイントは、各オーディエンスグループがどのタイプのコンテンツに興味を持っているかを把握することです。オーディエンスをインテントレベルで分類し、そのデータを活用して、それぞれの購買プロセスに合わせたコンテンツを提供しましょう。

ただし、見込み顧客の課題に特化したコンテンツを作成するためには、ターゲットとしている相手について詳しく知る必要があります。ここで、インテントデータが役立ちます。インテントデータを活用して、次のようなことを深掘りしましょう。

 

  • 適切なコンテンツの選定:どのコンテンツが購買者に響くのかを見極めます。インテントデータを使えば、特定のオーディエンスセグメントに最も効果的なコンテンツのタイプを明らかにできます。見込み顧客がどのトピック、形式、チャネルに反応しているかを分析することで、彼らの関心に合ったコンテンツを提案できるようになります。
  • コンテンツのギャップの特定:現在のコンテンツに不足している部分はないかを確認します。一般的なインテントシグナルを活用して、新たなコンテンツのアイデアを生み出し、既存コンテンツの不足を補いましょう。
  • コンテンツのパーソナライズ:見込み顧客に対して、さらに個別対応したアプローチを行います。インテントデータを使えば、マーケターは各セグメントに対して、その具体的な課題や好みに合わせたパーソナライズされたコンテンツを提供できます。これにより、購買者の関心を引き出し、エンゲージメントを高めることができます。

 

また、最近の顧客の行動にも注目することが重要です。彼らが購入前にオンラインでどう時間を過ごしていたかを把握し、そのデータを基にウェブサイトやキャンペーンの内容を最適化しましょう。見込み顧客が関心を持つ情報を特定できれば、企業はより効果的なアプローチが行えます。

リアルタイムでのウェブパーソナライゼーション

ウェブサイトの訪問者がどのような行動を取ったかに基づいて、コンテンツやメッセージをその場で変更することで、エンゲージメントが大きく向上し、コンバージョン率も高まります。実際、80%の消費者は、パーソナライズされた体験を提供するブランドから購入する可能性が高いと答えています。

例えば、Adobe TargetやGoogle Optimizeのようなプラットフォームを使うと、訪問者の行動データや企業情報に基づいて、表示されるコンテンツをリアルタイムでカスタマイズできます。これにより、ウェブサイトの訪問者ごとに、ウェルカムメッセージ、メニュー、そして「今すぐ購入」ボタンなどの表示内容を変えることが可能です。

 

インテントデータを活用することで、例えば、どのタイミングでお客様の評価を見せるべきか、どの時点で異なる価格プランを提示すべきか、あるいはガイドやテンプレートなどのリソースが最も効果的に働くタイミングがわかります。これにより、クリエイティブな方法で訪問者にアプローチすることが可能です。

例えば、異なる規模の企業や業界をターゲットにする場合、企業情報を活用して、それぞれの訪問者に合ったソリューションやメッセージを表示できます。また、訪問者が競合他社に関心を示している場合、そのページに自社の強みや特長を明確に伝えることで、効果的にアピールすることができます。

 

<ウェブパーソナライゼーション設定方法>
  1. オーディエンスのセグメント化
    カスタマイズするページに応じ、企業情報やインテントデータを使って見込み顧客をグループに分けます。
  2. テンプレートの準備
    CRMやマーケティングオートメーション、ABMプラットフォームで、カスタマイズできるランディングページのテンプレートを作成します。例えば、CTAボタンやバナー画像、リダイレクト先の設定などです。ターゲットとしている見込み顧客の行動や企業の特徴を考慮しながら作成します。例えば、見込み顧客が競合他社に興味を持っている場合、競合分析のページに自動的に誘導する設定にすると効果的です。
  3. モニタリングと最適化
    ページの閲覧数、クリック数、コンバージョン率、ページの滞在時間などを監視し、どのコンテンツが効果的かを確認して、必要に応じて調整します。

 

メールマーケティング

インテントデータを活用することで、メールキャンペーンはこれまで以上に進化します。これにより、マーケターはオーディエンスに合わせたメールの最適化が可能になり、エンゲージメントやコンバージョンの向上が期待できるでしょう。手作業でリストを作成したり、CRMデータの管理に煩わされることなく、オーディエンスにピッタリ合った効果的なメールマーケティングを実現しましょう。

購買行動に基づき、マーケターはクリエイティブやコピー、配信タイミングをカスタマイズできます。見込み顧客に合わせたマーケティングを行うことで、彼らにとって価値のあるコンテンツとして受け取ってもらいやすくなり、より積極的な反応を引き出すことができます。これにより、オーディエンスはただのデータとしてではなく、自分に適した情報を受け取っていると感じるでしょう。

 

<インテントデータを使ったメールマーケティングの設定方法>
  1. インテントデータに基づいて、関連性の高いセグメントを特定
  2. 各セグメントに適したメッセージを作成
     一般的な認知を目指すセグメントには、製品やブランドについての基本情報を伝えるメッセージを提供し、競合他社と比較検討しているセグメントには、自社の強みを具体的に示すメッセージを作成しましょう。
  3. メール配信スケジュールを構築し、連携
    オーディエンスが競合他社との比較検討段階に進むために、どのタイミングやステップが必要かを考えます。例えば、ウェブサイトへの訪問回数が一定数を超えた時や、インテントスコアが上昇した時に、メッセージを更新するタイミングを設定します。
  4. 結果を分析し、最適化
    このプロセスを繰り返すことでどのメッセージが各セグメントに最も効果的かを確認し、戦略を最適化していきましょう。

インテントデータを営業に活用する

営業チームの成果を上げるために、インテントデータをどのように活用すればよいでしょうか。

まずは、見込み顧客の発掘、アプローチの優先順位付け、パーソナライズの強化、そして現在の取引や顧客との関係改善に役立てましょう。インテントデータを使うことで、早期に購入を検討している見込み顧客を特定し、現在の取引がどの点に関心を持っているかを把握し、営業プロセスの優先順位を明確にすることができます。

インテントデータを活用した見込み顧客の発掘

見込み顧客を推測するのではなく、確実に把握できるとしたらどうでしょうか。その結果、時間の節約や、より価値のある見込み顧客とのやり取りの機会が増えるはずです。従来の見込み顧客の発掘は、企業が理想的な顧客プロファイル(ICP)にどれだけ適合しているかに基づいていましたが、これだけでは市場にいる見込み顧客を把握することはできません。

インテントデータを活用すれば、営業担当者は市場にいる見込み顧客をより正確に特定し、以下のようにアプローチできます。

 

  • 適切なチャネルを選択する
    メール、ソーシャルメディア、電話など、見込み顧客のセグメントごとに適したコミュニケーションチャネルを選びます。
  • アプローチのタイミングを図る
    インテントシグナルのタイミングを活用し、見込み顧客の関心が最高潮に達しているときにアプローチすることで、エンゲージメントや反応率を高めます。
  • ナーチャリング(育成)とフォローアップを行う
    インテントを示しているものの、すぐにコンバージョンに至らない見込み顧客には、体系的なナーチャリングプロセスを導入しましょう。自動化とパーソナライズされたフォローアップを組み合わせることで、エンゲージメントを維持することができます。インテントデータを活用することで、見込み顧客が購買プロセスのどの段階にいるのかを把握し、競合がアプローチする前に、探索や比較段階にいる見込み顧客と積極的に関わることが可能です。これにより、営業サイクルが短縮され、より多くのビジネスチャンスが得られます。

個別対応のアウトバウンドアプローチを開始する

アウトバウンド営業とは、企業が見込み顧客に対して積極的に行うアプローチを指します。例えば、メールや電話を使って、見込み顧客に直接働きかけることが典型的な例です。このような活動において、すべての見込み顧客に同じメッセージを送るのではなく、個々の見込み顧客の興味や行動に合わせてパーソナライズされたメッセージを送ることが、成功の鍵となります。

インテントデータを活用することで、見込み顧客が特定の製品に関心を示したり、ウェブサイトの特定のページを閲覧したりするなど、具体的な行動を取った瞬間に、その見込み顧客に最適なアプローチを自動的に開始することができます。例えば、見込み顧客が価格ページを訪れたときに、そのタイミングでパーソナライズされたメールを送信するなど、適切なタイミングでアクションを起こすことが可能になります。

<アウトバウンドアプローチの設定方法>
  1. アラートを設定する
    重要なアクションやシグナルが発生したときに、営業チームに通知が届くようにアラートを設定します。これには、メールやCRM、マーケティングオートメーション、その他のマーケティングツールを使った通知が含まれます。このアラートにより、営業チームは事前に準備されたコンテンツをすぐに活用することができます。設定すべきおすすめのトリガーとしては、価格ページへの訪問、競合比較のページへのアクセス、複数のウェブ訪問(または同じアカウント内の複数の人物の訪問)、インテントスコアの上昇などがあります。
  2. コンテンツを準備する
    各アラートに対応するために、メールテンプレート、LinkedInのDM、短い動画、関連するリソースのフォルダなどを作成しておきます。
  3. 個別対応を強化する
    最初の通知を受け取ったら、見込み顧客の名前や役職、業界、インテントシグナルに基づいて、メッセージをパーソナライズしましょう。パーソナライズがしっかりできているほど、他社との差別化が図れます。見込み顧客のリサーチにかかる時間を節約できるので、より効果的なアプローチに専念できます。コピペしたメッセージは、見込み顧客に「冷たい」印象を与えてしまうので注意しましょう。

マーケティングと営業の連携

インテントスコアリング

インテントスコアリングを使うことで、企業属性だけに頼らず、より柔軟で適切な優先順位付けが可能になります。営業とマーケティングのチームは協力して、インテントスコアを既存のスコアリングモデル(マーケティングオートメーション、営業支援ツール、CRMワークフローなど)にどう組み込むかを決定する必要があります。一度プロセスが定義されたら、それを既存のワークフローに統合し、シームレスな優先順位付けを実現しましょう。

通常、マーケティングと営業のチームは、最も高品質な見込み顧客を判断する際にスコアリングのレベルを使用します。以下は、その1でもご紹介しましたが、インテントに基づいたスコアリングレベルの一例です。

 

  • 80-100:購入の可能性が非常に高い企業群。直接的なマーケティングやアウトバウンドのリードジェネレーション、営業活動の優先対象とするべきです。
  • 60-79:購入の可能性が高まりつつある企業群。トップファネルのナーチャリングキャンペーンや、メールやソーシャルチャネルを通じたアプローチを仕掛けましょう。
  • 40-59:購入意欲がまだ低い段階の企業群。主にウェブサイトのパーソナライゼーションやメールマーケティングなど、無料チャネルを活用して育成を進めるとよいでしょう。
  • 0-39:購入意欲がまだ見えていない企業群。質の高いコンテンツや、興味を引く事例を提供して、関心を引き出すようにしましょう。


以上を踏まえ、チーム内で次のような議論を行いましょう。

「インテントスコアが90以上のリードに対して、広告へのエンゲージメントなどの補完的なアクションがあれば、すぐに営業チームに引き渡すべきか?」「あるいは、特定のコンテンツを閲覧し、かつスコアが70以上の見込み顧客を、より下層のファネルに入れる広告オーディエンスに登録するべきか?」などです。

 

インテントのスコアリングに基づき、インサイトが異なるレベルに分類されることで、チームは優先順位を付けられるようになります。スコアが高く、強い関心やエンゲージメントを示すリードは、パーソナライズされた営業対応にすぐ移行できます。一方、スコアが低いリードは、さらなる育成が必要なため、マーケティングキャンペーンを通じてアプローチすることが求められます。このアプローチにより、マーケティングと営業のリソースが効果的に配分され、最適な結果が期待できます。

優先順位付け

Foundryの調査によると、90%以上のマーケターがインテントデータスコアリングを活用し、ターゲットアカウントの優先順位を付けてから提供するコンテンツを選び、アカウントリストを作成しています。

インテントに基づいた優先順位付けは、マーケティングと営業の連携において重要な役割を果たします。インテントデータがスコアリングやリードを営業チームに引き渡すプロセスにどのように影響するかを協力して決定することで、チーム間の信頼が築かれ、フィードバックループが生まれます。営業チームは、リードやメッセージのパフォーマンスをマーケティングチームに伝え、マーケティングチームはそのフィードバックを基に行動すると良いでしょう。

インテントデータの活用により、リードスコアリングの精度が大幅に向上します。これにより、見込み顧客の購買行動に基づいて優先順位を付けることが可能になります。具体的には、インテントスコアリングを使って高いエンゲージメントを示す見込み顧客をリストの上位にランク付けし、次に取るべきアクションが明確になります。こうして、営業チームはリアルタイムで最もアクティブな見込み顧客に優先的にアプローチできます。

これらの見込み顧客は理想的な顧客プロファイル(ICP)に合致し、購入意欲が高いため、特に重要です。多くのインテントデータプロバイダーは、独自に利用できるリードスコアリング機能を提供しており、この機能を既存のスコアリングシステムに組み込むことも可能です。



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アカウントトラッキング

多くのABM(アカウントベースドマーケティング)プログラムは、適切なアカウントにリソースを優先的に配分できずに失敗しますが、インテントデータを活用すればこの課題を解消できます。

インテントデータは、新しい見込み顧客を見つけるためだけに利用されがちですが、その価値はそれだけにとどまりません。既存のアカウントの活動を追跡し、重要なアカウントに集中するタイミングを見極めることで、現在のチャンスに注力すべきか、より有望な見込み顧客に焦点を移すべきかを判断できます

このアプローチを適用すべき主な対象は次の2つです。

ターゲットアカウントリスト

ABMの核となるのは、見込みが高いアカウントとの関係を築くことにあります。ここでインテントデータは、ターゲットとするアカウントリスト内での行動や興味をモニタリングし、次に何をすべきかの指針を提供します。

このインサイトにより、各アカウントがどのような活動をしているのか、どれだけ関心を持っているのかが把握でき、どのアカウントに注力するべきか、またどのように関わっていくべきかが明確になります。シグナルに基づき、いつ電話をかけるか、どのタイミングでメールキャンペーンを実施するかを判断し、より効果的にアプローチできます。

既存クライアント

既存のクライアントに対しては、その購買行動を追跡することで、a) 新しい提案を受け入れる準備ができているか、b) 何か不満があるかを把握できます。この情報をもとに、すぐに対応し、適切なタイミングでフォローすることで、関係を強化し、顧客の離脱を防ぐことができます。

成果の評価方法

インテントデータ戦略の成果を定期的に評価することが重要です。インテントデータの活用を最適化するためには、追跡するべき指標が成長と全体的な成功の鍵となります。以下のインサイトに基づいて、戦略を評価することをお勧めします。

 

  • エンゲージメント率:見込み顧客がターゲットを絞ったコンテンツやキャンペーンに反応することで、エンゲージメント率の向上が期待できます。ターゲットオーディエンスとのエンゲージメントの効果を測定しましょう。クリック率(CTR)、開封率、コンテンツのダウンロード数などの指標に注目してください。
  • リードの質:獲得したリードがマーケティングや営業の期待に合致したものか、インテントデータを通じて生成されたリードの質を評価します。
  • コンバージョン率:インテントデータの影響を受けたリードが顧客に転換する割合を測定します。このコンバージョン率を他のリードソースと比較し、インテントデータの効果を評価しましょう。
  • 投資対効果(ROI):インテントデータを活用した活動から得られた収益を、データの取得や活用にかかったコストと比較して、ROIを算出します。

 

インテントデータを活用すれば成果は出る

以上で見てきたように、インテントデータを実行可能なインサイトに変えることで、その潜在力を最大限に引き出すことができます。調査によると、インテントデータを活用したターゲティングキャンペーンは、従来の手法と比べて2.5倍の効果を持つことが示されています。

現在の市場では、単にリードリストを持っているだけでは十分な成果を得られません。B2B企業が競争で優位に立つためには、誰が何に興味を持ち、購買プロセスのどの段階にいるのかを正確に把握し、迅速にアプローチする必要があります。マルチチャネルのインテントデータを適切に活用することで、顧客のニーズに応じた柔軟な対応が可能となり、コンテンツのパーソナライズ、チャネルの選択、アプローチのタイミングの最適化が実現できます。

また、デジタル化の進展とモバイルファーストのライフスタイルにより、消費者の行動が多様化しています。オンラインとオフラインの両方で情報収集や購買行動が行われる中、インテントデータの活用はますます重要性を増しています。正確なデータに基づいた戦略的なアプローチが、競争力を高める鍵となるでしょう。

 

 

 

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Foundry

Foundryは電通B2Bイニシアティブの協業パートナーです。
CIO.comやComputerWorld といった受賞履歴のあるIT専門メディアブランドを擁するFoundryは、ジャーナリズムから築かれたデータをテクノロジーで運用し、クライアントの国内外BtoBマーケティング施策をブランド認知・リードジェン・インテントデータの提供から、イベント企画と運営、メディアブランドの活用など、多方面から総合的にサポートしています。