世界中からバリキャリ人材が集まるニューヨークでは近年、子育てをしながらキャリアを積むミレニアル世代が目立ってきました。私自身、アメリカのミレニアル世代でもあり、5年前から育児をしながら仕事するいわゆるミレニアルペアレントですが、最近は周りの多くの友達も子供を出産し、ニューヨークで育児をしながらキャリアを積むミレニアルペアレンツのニューヨーカーが多くなってきた気がします。
事実、ミレニアル世代はニューヨークの人口約20パーセントを占めており、グーグルのデータによるとアメリカ全体のミレニアル世代の約40パーセントがミレニアルペアレンツだという結果でした。
それから会社を経営しながら子育てをしていると、やはりよく聞かれるのが、どうやって両立しているのか?という質問です。今現在、7ヶ月の乳幼児と5歳の子供の二人の子供の育児をしながら毎日仕事をしている真っ最中で、日々仕事と子育ての両方を奮闘中です!
ということで、今回のブログ記事では、実体験や周りのニューヨーカーたちからの情報をもとに、ニューヨーク流育児と仕事を両立方法の秘訣や実践方法を紹介していきます。
①子育てビレッジ
アメリカではよく「 It takes a village to raise a child 」というフレーズがありますが、「育児・子育てにはコミュニティー(村)が必要だ」という意味で使われます。そのフレーズ通り、子育ては1人でやるものではなく、周りに協力してもらい、子育てにはコミュニティーが必要となります。
そのため、育児と仕事の両立をさせるための心得として、まずはやらなければならない事、やらなくてもいい事、そしてその中で出来る事、出来ない事を現実的に直視し、「両立」は1人ではできない事を私も周りのニューヨーカーの働くママ・パパたちもすんなりと受け入れています。
自分で何もかもやらなければならないという思い込みはさっさと捨て、自分じゃなければできないところと他の人にお願いしても出来る事を洗い出し、とりあえず他の人の力を借りる努力を日々しています。
プライオリティ(優先順位)づけを家事、育児、仕事のカテゴリーのタスクをそれぞれつけて何が自分にとって一番大切で、どの部分が自分ではなければいけない仕事なのか?そして自分ではなければいけない仕事をどう自分以外の人でも出来るように工夫ができるか等を考慮して、自分がやらなくてはいけない縛りを少しずつでもいいから解いていくという努力をしています。
母が日本からニューヨークへ家事と子育ての応援をしに来た際の写真
結果、ナニーやベビーシッターさんなどに子育てを部分的に少し手伝ってもらったり、自分の親を日本から呼び、短期の間家事や育児をお願いしたり、旦那さんにも家事や育児を手伝ってもらえるようにお願いするなどして周りからのサポートをしてもらえるような仕組みづくりをするように徹底しました。
私の周りのニューヨーカーママやパパたちも同じようにフルタイム契約でナニーさんやシッターさんを一年雇い、年間約4万5千ドル(約724万円)支払って雇用したりするなど、とにかく自分がバーンアウト(BurnOutー燃え尽き症候群)してしまわないような工夫や投資をたくさんしています。
私が知っているアメリカの某大手テレビ局で人気番組のディレクターを勤めているニューヨーカーママのMさんは出産後0ヶ月から託児所を利用して出産後すぐに職場へ復帰していました。こうやって母乳育児にこだわりを持たず、出産をしてもすぐ自分のキャリアを続け、バリキャリスタイルを継続させていくというのはとてもニューヨーク的な考え方なのかもしれません。
私の場合、長男長女、ともに母乳育児で育児をしました。そのため長男の時、半年ぐらい夜は寝ずに仕事をして、昼も夜も育児でバタバタというはいハイ・ストレスな期間が続きました。それから長女を妊娠、出産した際は、出産前のつわりがひどかったので3ヶ月間、そして出産後は2ヶ月間、日本から親を呼び寄せて育児や家事をお願いしました。よく友達と話していると、「もう本当にスーパーウーマンだよね」というお褒め言葉をいただくことがありますが、実はスーパーウーマンでもなんでもなく、こうやって周りにただ単にお願いしますと頭を下げているだけなので、普通なワーキングママなんです!
②アプリ家事
上記のようなサポートシステムやコミュニティーの構築以外にも、私の場合はなんでもとりあえず仕組み化をして、効率よく家事や仕事をこなせるような仕組みやフロー作りを徹底し、最小限の時間でなんでも出来るように工夫をしています。アプリを使えるようなサービスはどんどん利用し、とりあえずアウトソースをすることを徹底します。
例えば、日本ではほぼ毎日、新鮮な食べ物を近くのスーパーで買い付けてから食事の準備をしたり、お惣菜を買い付けたり、ささっとご飯ができてしまう便利なものも多いのですが、アメリカやニューヨークではスーパーがまず遠かったり、毎日行けない事も多々あります。そのため我が家では週に一回大きな買い出しをして、足りない物は近くにあるスーパーで買い、献立と長男のお弁当のメニューを1週間分予め決めてしまうことで、食事にかかる様々な無駄な時間や脳の疲れを減らすための効率化を重視しています。
アプリでメニューを決めたりするほかに、アプリを使って買い出しをしたりして家事にかかる時間の有効活用をしています。少し割高になっても時間が買える事を優先し、そして野菜やフルーツ選びもあまりこだわらないでサービスに頼んでしまいます。
その他に、我が家では旦那さんにも食事を作ってもらうことをしてもらったりします。食育の一環として子供たちに食事の準備を手伝ってもらったりして、キッチンに立たせることも多々あります。
一方、仕事の面でも同じように仕組み化する事を徹底し、私がいなくても成り立つ事業を営むことに専念しています。
特に第一子を出産後は事業の仕組み化を徹底し、私がいなくてもチーム全体が動けるよう、コミュニケーションの円滑化、組織図の改革、そしてハイヤリング、商品やサービスの改善・開発を繰り返してきました。
とりあえず、私がいなくてもなんとかなる図式と組織作りを仕事面で徹底し、家でも家事の効率化とアウトソースができる部分はそれをうまく利用し、より生産的に使える時間を生み出しています。私の周りのニューヨークママやパパもアプリやネットショップなどで家事を最大限に効率化させて時間を作っているようです。
③40万円の洗濯機を買った理由
実は最近、40万円(約2,500ドル)ほどするAI搭載をした洗濯機を買いました。え?40万円もしたの?洗濯機がAI?と思う方も多いかと思います。でもこの洗濯機、実は洗濯する際のつまらない作業をほぼゼロにしてくれるとても優秀な洗濯機なのです!
この洗濯機には前もって洗剤をいっぱい入れて、あとは遠隔から専用アプリで洗濯をしてくれて、AIが勝手に効率よく洗える洗剤の量を入れてくれるので、洗剤を毎回入れなくて良くしてくれるのと、洋服を洗いから濯ぎ、そして乾燥まで一括全部やってくれるとてもエコで効率の良い洗濯機なのです。
しかも電気を使うタイプなので我が家のソーラーパネルの太陽光で利用でき、ガス代を一切使わないため、毎年ニューヨークで高騰が続くガス代が浮くという経済的なメリットもあります。
洗いから乾燥までAIを使って効率よく洗ってくれて、業務用並に綺麗に仕上がり、洗濯をストレスフリーにしてくれる優秀な洗濯機として我が家では重宝しています。そして、自分の時間を時給換算した時、どれくらいこの洗濯機が私の貴重な時間をセーブしてくれるのか、脳疲れやストレスの軽減などトータルで考えて洗濯機がリターンしてくれる価値を考えたとき、まさに日々の家業の効率化、仕事上の生産性のアップ、日々のストレスの軽減、より生産的な時間を「買える」という理由などからこの洗濯機を購入したのです。
この洗濯機を買ってから、ボタンひとつであとは洋服が綺麗になるので、誰でも率先して洗濯が出来ることで、私の時間をフリーアップする事も簡単になりました。それから、ガス代や電気代が浮く以外にも、例えば家を売却する際もこのような洗濯機が搭載されていることで家の価値を高めてくれるという利点もあります。
このようにして、家事の面でも仕事の面でも、あらゆるツールの搭載により自分の時間をより生産的にしてくれて、価値を高めてくれるようなツールやサービスを最大限に利用することを徹底し、家事も仕事もなんでもとりあえず必要な投資をしていくという事を心がけています。
GEの10年保証つきのAi搭載の洗濯機
④我が家流「ゴールデンアワー」
それから子育てをしている方はよくお分かりだと思いますが、子供ができた途端に、とにかく自分の時間がなくなってしまいます。
私は第一子の出産後、両親や家族が周りに全然いなかったので、自分の時間を持つことが一切できなくて、メンタル面でも体力面でもとても苦労したことを覚えています。このような問題を解決するために我が家では夫と相談し、自分1人の時間を持てるよう、お互い週1で午後6時以降から子供たちが寝静まるまでの間、自分が好きな事をする自由時間の「ゴールデンアワー」という時間を持つようにしました。夫か私がゴールデンアワーをする際はもう一人が子供たちの面倒や家事を全てやるというシステムで、お互いをサポートしあうということです。
こうすることで自分の趣味の時間を作り、ストレスを発散したり、クリエイティブな事をやったりしてリラックスするなど、メンタルヘルス面でのメンテナンスをできる時間を設けました。それから、家事を多くこなす私にとっても夫が一人で色々家事をやってくれることによって、私がいなくても色々とできるような環境にもなり、お互いをもっと家事や育児面で頼り合う事にも貢献できているのではと考えています。
そして子供たちとはこのゴールデンアワーがある際は「ダダ・タイム」や「ママ・タイム」という形でクオリティーの高い時間として子供たちとじっくり遊んで思い出づくりをするような時間としても利用しています。
「今日はどんなスペシャルなママ・タイムにしよっか?」と相談して、映画を一緒に見たり、アイスクリームを一緒に食べたり、その他リクエストに添えてパズルで遊んだり、レゴで一緒に何か作ったりと、普段やらないような事をやったり、スペシャルな時間として一緒に過ごしたりします。
前回はお風呂でプラネタリウムを見て遊んで、普段は疲れ果てていてテレビづけにしてしまう子供たちも、このゴールデンアワーでは濃厚な時間として子供達と過ごして子供の成長を見届ける時間に充てています。
子供の大好きな「ギャラクシーバスタイム」のイメージ
⑤母親という名の筋肉
昔は母親、父親、を単なる名称だと思っていましたが、自分が母親になり最近この名称は、一種の筋肉でもあると考えが変わりました。
朝は5キロのジョギングから始まり、一日中乳幼児の面倒と5歳児の息子の面倒、家事、旦那さんのケアー、などなどを終えてから私の主な仕事をする時間は子供達が寝静まり家事を終えた午後9時に始まります。午後9時から朝の2−3時までの5−6時間は超集中して仕事をする時間で、その間はどんなに疲れていても終わらせる仕事は必ず終わらせています。
日中はスマホやモバイル機器でできる事は子育ての傍ら全てこなし、モバイルで大体全ての業務ができるようにアプリを利用するなどしていろんな工夫をしています。その時間内で出来ない仕事に関しては週末やナニーさんなどを雇うなどして終わらせ、ニューヨークならではの「メイクイットハプン」の精神でどうにかさせるのがニューヨーク流だと思います。
家事は完璧を目指さず、「Good enough is more than enough」十分であればそれでよし。適当が一番。そんなふうに自分に言い聞かせながら日々は脱完璧のストレスを溜めないような考え方でストレスフリーを目指しています。
今まではベタベタが気になっていても、母親という筋肉がついてきたら、そんなのも気にならなくなり、少し汚くても目をつぶり、常に綺麗でいる事や完璧でいる事を一旦手放します。そして、そうこうしているうちに最近は睡眠が約4時間あれば足りてきていると感じてきた一方、自分が進化してきていることを実感しています。
こうやって、人間ってどんどん強くなるものなのですね。昔の自分だったら絶対できなかっただろうと思いますが、メンタル面、体力面、その他全てにおいてワーキングママという母親になってから、全ての面で筋肉のように鍛えられて来るものだと感じています。これからも気力・体力共に鍛え上げて子供が誇れるような母親を目指して行きたいと思っています!
いかがでしたか?皆さんの子育てと仕事の両立に少しでもお役に立てるようなヒントがあれば嬉しいです!子育てだけでも十分大変な毎日ではあるのでお仕事の両立は非常に大変だと思います。どうぞ皆さんくれぐれもご無理をせずお体にはご自愛ください!
PROFILE
ヨウコ・ウィルソン(旧名:内田洋子)