RPAは、企業が日々の業務を自動化し、生産性を向上させるための強力なツールです。大企業だけでなく中小企業でもその恩恵を受けられますが、導入にはさまざまな課題も存在。本記事では、課題がある中でも、中小企業がRPAを効果的に使用するためのポイントについて紹介します。
RPAで業務効率化を図り、さらなるビジネスの成長を達成できるよう、中小企業のご担当者さまはぜひ参考にしてみてください。
RPAとは、人間が行う定型的な業務をソフトウェアロボットが自動的に行う技術のことを指します。中小企業でも導入が進んでいる一方で、具体的な導入方法や運用方法についての認知度はまだまだ低いのが現状です。
スターティアレイズが2021年に行った調査によると、中小企業のRPA導入率は9.6%と、まだ全体的には低いレベルに留まっています。ただし、この調査が3年前に行われたものであるため、現在の導入率はこれより若干高いと推測できるでしょう。
<設問①>お勤め先でRPAを導入していますか?(n=6,654名)
補足として、大企業では22年段階での導入率が45%に上っていることがわかっており、企業規模によって導入状況に差があることが窺えます。
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一方で、導入企業の中には有料版を活用しているところも多いです。導入割合は52.3%に上り、RPAの高度な機能を求めて投資を行う企業が一定数存在することを示しています。
<設問②>「RPAを導入している」と回答した方へ聞きました。導入している(利用している)RPAにおいて、最も当てはまるものを教えてください。(n=132)
また、RPAを導入する際に企業が重視するポイントについても見てみましょう。「価格」が42.0%で最も高く、「複数人で利用できるか」が37.7%、「拠点間で利用できるか」が36.2%と続きました。企業がRPA導入を検討する際には、コストパフォーマンスや利便性が重要な要素となっていることがわかります。
<設問③>「有料版のRPAを導入している」と回答した方へ聞きました。RPAを導入する際に重視したことで当てはまるものをすべて教えてください。(n=69)
中小企業が新しい技術を導入する際に直面する課題は多岐にわたり、それはRPAも例外ではありません。
具体的には
・コスト
・運用できる人材の不足
・効率化できる業務が少ない
という三つの要素が主な障壁と考えられています。
RPAソフトウェアの購入やシステム構築には相当な費用がかかり、中小企業にとっては大きな負担となり、導入をためらう一因となります。
ソフトウェアの導入には、企業の規模や業務内容によりますが、一般的には数十万円から数百万円といった金額が考えられます。しかしこれだけで完結するわけではありません。ソフトウェアを導入した後にはシステムを構築し、それを企業の業務に合わせてカスタマイズする必要があります。これには専門的な知識を持ったITスペシャリストが必要となり、その人件費や外注費用も考慮しなければなりません。
また、RPAの導入は単発の投資ではなく、継続的なメンテナンスやアップグレードが必要となるため、その運用費用も無視できません。とくに、ソフトウェアのバージョンアップやセキュリティ対策、障害対応などには定期的な費用が発生します。
これらのコストは、大企業であれば比較的容易に負担できるかもしれません。しかし、中小企業にとっては大きな経済的負担となり、導入をためらう一因となるのです。したがって、RPAを導入する際には、初期投資だけでなく継続的な運用コストも考慮に入れる必要があります。これら全体のコストを把握し、ROI(投資対効果)を計算することで、RPA導入のメリットを正確に評価することができます。
RPAはIT技術を駆使するため、その運用には専門的な知識とスキルが必要となります。たとえばプログラミングスキルや業務プロセスの理解、さらにはRPAツール自体の知識が求められるでしょう。
これらの専門性を持った人材は、とくに中小企業では不足しているのが現状です。また、RPAの導入後には、業務プロセスの変更に伴うRPAの更新や、トラブルシューティングなど、継続的な運用・管理が必要です。しかしこれらを担当するIT人材がいない場合、RPAのパフォーマンスは大きく影響を受ける可能性があります。
もちろん、RPAの導入から運用までをサポートする専門家や、RPAの教育・トレーニングを提供する企業を活用することで、中小企業でもRPAの恩恵を十分に受けることが可能です。しかし、これにもコストがかかります。
ほか、自社のIT人材を育成するという方法もありますが、これにはコストだけでなく時間も多くかかります。
RPAは標準的な業務フローとプロセスを基に設計されているため、独特なプロセスを導入している中小企業の場合、適応することは難しいのが現状です。
中小企業が独自のビジネスプロセスを理解し、それに合わせたカスタマイズ可能なRPAツールを導入することで、自動化と効率化を実現することが可能です。このような組み合わせにより、中小企業でも大企業と同等の生産性向上が期待できます。それにより中小企業のビジネスプロセスが、大企業向けの一般的なRPAツールに適合しない問題を克服することができるでしょう。
これらの課題を解決するためには、コスト削減のための予算計画、IT人材の育成や外部専門家の活用、ビジネスプロセスの見直しやカスタマイズなどの手段が考えられます。これらの対策を講じることで、中小企業でもRPAの導入は十分可能となり、業務効率化を実現することができるでしょう。
中小企業の競争力を高めるためには効率的な業務運営が不可欠です。RPAの導入は中小企業にとって大きなチャンスですが、その成功は戦略的な準備と運用にかかっています。適切な導入ポイントを押さえ、業務改善につなげていきましょう。
中小企業の「あるある」な業務課題として、以下などが挙げられるのではないかと思います。
・業務が見える化されていない
・目標が明確化されていない
・技術・ノウハウの属人化
これは、業務の進行状況や成果が明確に把握できていない状態を指します。効率的な業務運営を行うためには、何がどの程度進んでいるのか、どの段階で何が必要なのかを全員が理解している必要があります。
次に、目標の明確化です。目標が定義されていないと、社員一人ひとりが何をすべきなのか、どのように業務を進めていけばいいのかがわからなくなってしまうためです。明確な目標設定により、業務の進行方向が定まり、組織全体としての生産性も向上するため、マストな取り組みといえます。
そして、技術・ノウハウの属人化も重要な課題です。特定の人に依存してしまうと、その人がいないときに業務が停滞する恐れがあります。ノウハウを共有し、どのメンバーでも代替可能な状態を作ることで、業務の円滑な進行が図れるでしょう。
課題の改善は業務の効率化や生産性向上、安定した成長が期待できます。これらの課題はRPAで解消しやすいところでもあるため、まずは自社の課題を洗い出し、上記に当てはまりそうかを見てみましょう。もし当てはまりそうであれば、RPAを導入できる余地があると考えられます。
RPA導入と並行してBPM(ビジネスプロセスマネジメント)を活用することで、業務の効率化をさらに深化させることが可能です。
BPMとは、業務プロセスを明確に把握し、問題点を洗い出した上で最適な形に改善を図る手法。BPMを活用することで業務フローを見直し、そこからRPAによる自動化を行うことで、より高度な効率改善を実現できるのです。
具体的には、BPMによる業務プロセスの可視化から、ムダな手順や複雑さを削減し、シンプルで明瞭な業務フローを設計します。その上でRPAを導入することで、業務の自動化がスムーズに進み、また自動化することで生じる課題やボトルネックも早期に発見、解消することが可能です。
RPAは他の要素と掛け合わせることで、更なる業務改善や成長をもたらします。BPMはもちろん、AIとの組み合わせも、注目の手法です。
以下ではRPA×AIのツール活用についてご紹介しております。業務にどのような活用ができるのか、ぜひ記事を参考に、導入イメージを膨らませてみてください。
【RPA虎の巻】AIを活用した、ワンランク上のRPAツール導入効果
中小企業は限られたリソースの中で成長を目指すため、効率化が求められます。その答えとして注目されているのがRPAの導入です。RPAは、ルーチンワークを自動化することにより、社員が重要な業務に集中できるようになります。これにより、従業員一人ひとりの働きが直接的に企業の成長につながるでしょう。
さらに、RPAの導入はコスト削減にもつながります。人力を使うことなく、24時間365日稼働することが可能なRPAは、企業のコストパフォーマンスを大幅に改善できるでしょう。これにより、事業の拡大や新規事業への挑戦といった成長戦略への投資が可能となります。
また、RPAによる作業の自動化はサービスの質向上にも直結します。人間のミスを排除し、一貫性のあるサービス提供が可能となるからです。顧客満足度の向上は企業の信頼性を高め、結果的には売上増加につながります。
こうしたメリットから、リソースが限られがちな中小企業こそ、RPAを導入することでさらなる企業成長を目指せるといえるでしょう。導入にあたっては、自社のニーズに合ったRPAツールを選択することが重要です。RPAツールの比較記事なども展開しておりますので、以下も参考に、自社に最適なRPAの導入スタイルを検討してみてはいかがでしょうか。
【RPA虎の巻】国内上位シェア3ツールの導入目的を徹底解剖!自社に最適なツールをどう選ぶ?