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AIは新規事業創出をどう変えるのか?最新動向とBtoB企業の事業機会を探る

作成者: B2B Compass編集部|Oct 16, 2026, 9:51:15 AM

AIを活用して、自社の次の成長につながる事業を生み出せないか。業務効率化の事例は参考になっても、自社の技術や知見を新しい収益に結びつける道筋までは見えにくいものです。

生成AIやAIエージェントの進化によって、AIに任せられる仕事の範囲が広がっています。一方、開発の速度や安全性、国際的なルール形成も議論されており、企業は技術と事業環境の両方の変化を捉える必要があります。

AIは日々の作業の効率化に加え、市場分析やアイデアの検証、製品やサービスの開発にも活用可能です。ビジネスにおけるAI活用は、今後の成長戦略を考えるうえで欠かせない検討事項となりつつあるのです。

では、BtoB企業は自社の技術や専門知識、顧客接点をAIと組み合わせ、どのような新規事業を生み出せるのでしょうか。本記事では、AIの動向と事業開発への活用を踏まえ、自社の強みを新しい事業に結びつける視点を解説します。

AIの可能性が、事業機会をどこに生むか

AnthropicのアモデイCEOが2026年9月12日(現地時間)に個人サイトで公開したエッセイ「We Must Pace the Frontier」が話題となりました。

このエッセイでは、安全対策が能力の向上に追いつく時間を確保するため、AIモデルの能力を高めるペース自体の調整を提言しています。

同氏は、訓練や技術的進歩を続けながら、安全対策と第三者評価に十分な時間を充てることを求めています。そのための計画として、常駐する外部評価者の導入、民主主義国の企業間での協調、グローバルな協調という3段階を示しました。

さらに、AnthropicはIPO目論見書で「AIは人類の存亡に関わるリスクをもたらし得る」と投資家に警告したことが海外の報道から分かっています。
同社は、AIが工業化や電力に匹敵する変革をもたらす可能性にも触れ、安全性や信頼性を備えたシステムの構築を重視しているとされています。

このようにAIを巡っては、性能の向上だけでなく安全性への懸念や開発の速度、利用を支えるルールにまで議論が及んでいる状況です。

むしろ事業開発の観点では、この「ペース調整」の議論は追い風とも読めます。フロンティアの進化が意図的に調整されるということは、いますでに実用化されているAIの能力が、当面の事業の土台として安定して使える水準にあることを意味するからです。

次の最先端モデルの登場を待つのではなく、現在のAIで何を顧客価値に変えられるかを問う段階に入っているといえます。加えて、安全性や信頼性への関心が高まるほど、BtoBでは「信頼して任せられるAIの設計」そのものが選ばれる理由になります。

一方で、AIは業務の効率化から市場分析、仮説検証や新たな製品・サービスの開発まで、ビジネスと事業成長を支える欠かせないツールになりつつあります。企業には、リスクを理解しながら、自社の強みとAIをどう組み合わせ、顧客への新たな価値につなげるかを考えることが求められます。

AIの進化が、企業の成長戦略と新規事業の可能性を広げる

事業への活用では、AIに任せられる仕事が増えることで、事業開発や顧客への支援をどこまで広げられるかに注目します。

例えば、市場情報や顧客の声を整理して事業アイデアの候補を探ったり、画面や試作品のたたき台を作って本格開発の前に顧客の反応を確かめたりできるでしょう。

調査や試作の負担を減らせれば、複数の事業案を検討する余地が生まれます。顧客に提供するサービスも、AIによって範囲を広げられる可能性があります。

専門担当者が個別に行っていた資料の検索や比較、回答案の作成をAIが支援できれば、担当者の人数によって限られていた提供先を増やせるかもしれません。

これは単なる効率化とは質が異なります。専門知識を核とするBtoB事業は、提供できる量が担当者の人数に比例するという構造的な制約を抱えてきました。AIがその制約を外すということは、同じ専門知識を、人員を増やさずに多くの顧客へ届ける「新しい事業の形」が成り立つことを意味します。効率化と新規事業の分かれ目は、まさにここにあります。

実際は情報整備や運用の費用、顧客が導入できる条件も含めて、継続して提供できる範囲を確かめる必要がありますが、日常的な確認をAIが支え、人は複雑な相談や最終判断を担うことで、自社の専門知識を生かせる場面が広がります。

AIは、新しい事業を探り、検証し、顧客への提供価値を広げる手段になります。業務効率化にとどまらず成長の選択肢に関わるからこそ、今後の成長戦略を考えるうえで欠かせない検討事項になりつつあるのです。

将来の技術進歩を見据えながら、自社の技術や知見をどの顧客課題に結びつけられるかを、現在使えるAIで確かめていきます。

顧客の課題と自社の強みから、AIを活用した新規事業の種を探す

新規事業でのAI活用には、調査や検証など「事業を作るプロセスに使う」方法と、「顧客に提供する製品やサービスに組み込む」方法があります。

いずれの場合も、顧客の課題と自社の強みを整理し、事業につながる組み合わせを探すことから始めます。

ここで重要なのは、AIそのものは競合も同じように使えるという前提です。生成AIが広く使えるようになるほど、AIの機能だけでは差別化が難しくなります。

だからこそ、AIに組み合わせる独自の判断基準、蓄積した支援事例、顧客業務への深い理解が、新規事業の競争優位の源泉になります。

  • 市場情報と顧客データを組み合わせ、満たされていないニーズを探る
  • 自社の技術や知見を、新しい用途や提供先に結びつける

市場情報と顧客データを組み合わせ、満たされていないニーズを探る

市場レポートや競合情報からは、業界の変化や、すでに提供されている製品やサービスを把握できます。そこに商談記録、問い合わせ、保守対応履歴を組み合わせると、自社の顧客がどの業務で困っているかを調査可能です。

そしてAIは、これらの記録の分類や要約、共通する論点の抽出に活用できます。

例えば、問い合わせを製品や業務場面ごとに整理し、「情報が足りず比較できない」「専門担当者への確認に時間がかかる」といった課題が、どの顧客層に現れているかを調べられます。

元の記録をたどれるようにしておくと、要約では抜け落ちた条件や背景も確認可能です。

抽出した課題を元に、説明資料の追加や選定の支援、確認作業の代行など、顧客の負担を減らす方法を検討し、市場情報と照らし合わせてみましょう。既存サービスで解決できる部分と負担が残る部分を整理できます。

ただし、問い合わせの多さだけでは事業性を判断できないものです。課題の発生頻度、業務への影響、現在の対処方法は顧客に確かめる必要があります。

頻度が低くても損失が大きい課題はあるため、件数と影響の両方から、事業として取り組む価値を検討します。

自社の技術や知見を、新しい用途や提供先に結びつける

自社の強みには、独自技術や製品に加え、顧客対応の判断基準や業界特有のノウハウ、過去の提案や支援実績も含まれます。例えば、長年蓄積した製品知識や選定基準を使い、顧客や販売代理店が候補を絞り込むサービスを構想できるでしょう。

そして自社の資産と顧客課題を「AIで広げられる提供範囲」と組み合わせることで、事業案を具体化しやすくなります。次の表は、その組み合わせの例です。

自社の資産
顧客課題
AIで広げられる提供範囲の例

製品仕様、適用条件、性能比較の知識

多数の候補から条件に合う製品を絞れない 入力された条件に応じ、候補と確認事項を提示する顧客向け選定支援

選定基準や過去の提案実績

販売代理店が専門担当者の回答を待っている 提案に必要な情報を整理し、判断を支える代理店向けサービス

業界特有のノウハウや支援記録

複数の資料を照合し、対応方法を検討する負担が大きい 関連資料を参照し、確認事項や対応案を示す業務支援
 

他社も同じAIを利用できる場合、自社のサービスが選ばれる理由を確かめる必要があります。独自の判断基準や蓄積した支援事例、顧客の業務への理解など、他社が再現しにくい知見がどの課題の解決に役立つかを整理しましょう。

合わせて、その情報をサービスに利用できるか、誰が更新するかを確認します。

技術や知見の保有に加え、それを更新しながら顧客に届ける体制まで見通すことで、自社が取り組む理由を具体化できます。

AIによる仮説検証と製品・サービス開発の変化が、新規事業への挑戦を後押しする

事業の種が見つかったら、顧客に見せられる形にして価値を確かめます。生成AIは、画面や提案資料のたたき台、試作用コードの作成などに使えます。

構想を形にする負担を減らせれば、本格開発の前に顧客の意見を得たり、複数の案を比較したりしやすくなるでしょう。

  • アイデアを早く形にし、顧客にとっての価値を確かめる
  • 検証の負担を減らし、複数案を比較しながら事業仮説を磨く

アイデアを早く形にし、顧客にとっての価値を確かめる

新しいサービスの利用場面は、言葉だけでは伝わりにくいことがあります。AIを活用し画面イメージや回答例、試作品を用意すると、どのような情報を入力し、何が得られるかを具体的に示すことが可能です。

例えば選定支援サービスなら、条件の入力から候補の提示、担当者への確認までの流れをAIで試作し、顧客に実際の仕事と照らし合わせてもらうなどが考えられます。試作があることで、必要な機能や不足している情報の聞き取りもスムーズになるでしょう。

顧客から「便利そう」という感想が得られたら、どの作業を減らせるか、どの場面で使いたいかを確かめます。BtoBではDMU(意思決定関与者)による合意形成を考慮する必要があるため、現場での使いやすさに加え、費用に見合う効果や稟議に必要な条件も押さえることも欠かせません。

検証の負担を減らし、複数案を比較しながら事業仮説を磨く

AIを活用し試作や資料作成の負担を減らすことで、対象顧客や提供機能の異なる案の比較に時間を充てられるようになります。

同じ選定支援でも、顧客向けに提供する案と、販売代理店の提案業務を支援する案では、必要な機能や導入の理由が異なるものです。AI活用によって生まれた余力で、複数案を比較し新規事業の仮説を詰めていきましょう。

ここで押さえておきたいのは、AIが短縮するのは「試作や資料作成にかかる時間」であって、「顧客に価値を確かめる工程」そのものではないという点です。AIによって検証のサイクルを速く、多く回せるようになるほど、一回ごとに顧客から得る事実の質が成果を左右します。速く回すことと、正しく確かめることは別の課題として設計する必要があります。

案ごとの違いを判断する際には、以下のように比較する観点をそろえます。

比較する観点
確かめる内容

課題の切実さ

解決できないことで、どのような損失や負担が生じているか

利用頻度と導入意向

継続して使う場面があるか。誰が費用を負担し、どの条件なら導入を検討するか

運用負担

情報更新や顧客対応を誰が担うか。必要な人員を確保し、費用を賄えるか
 

AIは、顧客から得た意見の整理や、比較資料の作成にも活用できます。ただし、AIが生成した顧客の反応や需要予測は仮説も含まれるため、実際の顧客による評価として扱わない点に注意しましょう。仮説と確認できた事実を分け、判断材料を積み上げます。

検証後には、どの価値が支持され、どの前提が外れたかを整理します。試行回数を増やすだけで終わらせず、結果を継続、修正、見送りの判断に反映しましょう。

なお、試作や資料作成の時間を短縮できても、実機試験や品質確認まで同じように短縮できるとは限りません。AIで負担を減らせる工程と、十分な時間をかけて確かめる工程を分けて計画することが重要です。

AIを組み込むことで、BtoBの事業モデルはどう広がるのか

AIを顧客に提供する製品やサービスに組み込むと、自社の専門知識を日常的に使える形にしたり、複数の作業をまとめて支援したりする構想が生まれます。

顧客がどの場面で利用し、どの支援に対価を払うかによって、提供するサービスの形も変わります。

具体的には、以下のような方向性が考えられるでしょう。

  • 製品や専門知識の提供から、継続的な課題解決へ広げる
  • AIエージェントを前提に、顧客業務の一部を担うサービスを構想する

製品や専門知識の提供から、継続的な課題解決へ広げる

ひとつは、個別の相談や受託業務で提供してきた専門知識を、顧客が日常的に使える支援サービスへ展開する方法があります。例えば、業界特有の判断基準や過去の支援事例をAIが参照できるようにし、顧客の状況に応じて確認事項や改善案を提示するサービスです。

相談のたびに担当者の回答を待っていた顧客が、自分で確認を進めやすくなることに価値があります。

提供側は、定型的な情報提供や確認をAIが担い、複雑な相談や個別判断には担当者が対応する分担を検討可能です。すでに保守や継続支援を提供している企業も、現在は対応しきれない相談や、新たに支援できる場面を探せるでしょう。

継続して使う価値が認められれば、月額料金や利用に応じた料金、専門担当者による支援との組み合わせなど、収益化の選択肢が生まれます。利用が続く理由と、情報更新や個別対応の負担を確かめながら、提供内容と料金を設計しましょう。

AIエージェントを前提に、顧客業務の一部を担うサービスを構想する

ここまでは、既存の業務や提供価値を起点に、AIで提供範囲を広げる発想を見てきました。しかし最も大きな事業機会は、「AIがある前提で、顧客の業務そのものをどう設計し直せるか」を問うところにあります。既存プロセスの改善ではなく、AIを中心に据えた新しい価値提供の形を構想する。これがAIネイティブな事業の出発点です。

顧客が仕事を完了するまでには、情報の検索以外にも複数の作業があります。AIを前提に価値提供を設計するAIネイティブな事業では、この一連の流れを見直すことが、サービスにつながります。

作業をつなぐ方法の一つが、状況に応じて手順や使うツールを選び、処理を進める「AIエージェント」です。

例えば、相談受付から契約内容や利用状況の確認、関連情報の検索、対応案の作成までを支援するサービスが考えられるでしょう。複数のシステムや資料を行き来する作業をまとめて支援できれば、顧客が対応案を作るまでの負担を減らせる可能性があります。

その際は、既存システムとの連携に加え、人が判断する工程も設計します。例えば、対応案の作成まではAIが進め、契約変更や最終的な回答は担当者が承認する、といった役割分担です。

顧客の業務のどこを担い、どの負担を減らせるかを明確にすれば、対価を得るサービスの範囲も検討できるでしょう。

AIで広がる新規事業の可能性

新規事業開発において、AIは市場情報や顧客の声の分析、アイデアの具体化や試作・検証など、多岐に渡り活用可能です。自社の技術や知見を、顧客が日常的に利用する支援や、業務の一部を担うサービスへ展開する選択肢も広がっています。

こうした事業の可能性を検討することは、今後の成長戦略を考えるうえで欠かせなくなりつつあります。

AIを活用した新規事業の出発点は、

  • 自社の資産
  • 顧客課題
  • AIで広げられる提供範囲

を結びつけることです。

その可能性を小さく検証し、顧客が導入する理由と継続して利用する条件を確かめながら、構想を事業へと具体化していきましょう。

その際に忘れてはならないのは、AIそのものは競合も同じように使えるという点です。AIが当たり前の道具になるほど、事業の優位は「AIで何ができるか」ではなく、「自社にしかない資産をAIにどう乗せるか」に宿ります。現在使えるAIを土台に、自社固有の強みを顧客価値へと変換すること。それがAI時代の新規事業創出の核心です。

わたしたち電通B2Bイニシアティブは、BtoB事業の成長を加速させるデマンドジェネレーションとブランディングのプロフェッショナルです。

電通グループの強みである広範なネットワークと豊富なデータ資産、そしてBtoBに特化した専門チームの知見を活かし、以下の領域をトータルで支援します。

  • 事業戦略の立案
  • 顧客体験(CX)の最適化
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わたしたちの核にあるのは、広告コミュニケーションで培ってきた「人の心を動かす力」です。この力を活用し、経営・人材・組織・事業といったあらゆるレイヤーにおける課題に向き合いながら、具体的な施策の実行から最終的な成果を分析・改善し続けるためのサイクルの創出まで伴走します。

単なる「施策の提供」にとどまらず、強いブランドづくりや売れる仕組みの構築を通じて、企業の持続的な成長と信頼性の高いパートナーシップの実現を目指します。

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