国内のBtoBマーケティングにおいて、商品の多様化や、生成AIの普及による実務のパラダイムシフトなど、劇的な変化の波が押し寄せ、現場では変革が求められています。電通グループはそうした課題に対し、企業の垣根を越えて実務家たちが本音で語り合う「共創の場」を創出しています。
2026年3月6日、電通グループによる横断型の組織「電通B2Bイニシアティブ」が主催する完全招待制勉強会「B2Bコネクト」の第2回が開催されました 。
“B2Bマーケティング変革者たちを「ツナグ」”というコンセプトのもと、会場には前回を大きく上回る人数の参加者が集結。東京会場だけでなく名古屋会場からのリモート参加者も交え、さらに熱量を増したハイブリッド形式での開催となりました。
INDEX
電通というと、一般的にはBtoCのイメージが強いかもしれません。しかし実際はグループ全体を通じてBtoB領域のマーケティング支援にも注力しています。
そして、本会を主催する「電通B2Bイニシアティブ」は、電通グループ18社・約160名の体制でBtoB企業の課題解決に特化して取り組む横断組織です。
冒頭、座長を務めるNTTドコモビジネスの徳田泰幸氏が登壇し、本会の幕開けを宣言。
「皆様が日々悩まれている疑問には、各社で共通点もあるはずです。この場で意見交換をして気付きを持ち帰っていただき、次回の勉強会ではさらに深みのある議論に繋げる流れをつくっていきたい」と、実務家同士が本音で語り合う本会の意義を改めて強調しました。
NTTドコモビジネス株式会社 ビジネスソリューション本部 事業推進部 グロースマーケティング推進室長
徳田泰幸氏
本会の前半では、AiKAGI 代表取締役CEOの富家翔平氏が登壇。
「AI時代のマーケティングプラン策定 〜ワークフローの一歩目から変える〜」と題した講義が行われました。
株式会社AiKAGI 代表取締役CEO 富家翔平氏
BtoC、BtoBの両面でマーケティング組織の責任者を歴任し、現在はAIを活用したマーケティング支援を行う富家氏。自身の豊富な経験から、AI時代においてマーケターに求められるのは、単に施策を考える力ではなく、AIに正しく情報を読み込ませるための「コンテキスト(文脈)を整える力」であると強く訴えました。
「マーケティングプランを策定するとき、ペルソナ作成やカスタマージャーニーを描くことから始める企業が多いですが、AIの活用を前提とするなら、第一歩はCRMの構造設計を見直し、AIフレンドリーなデータに整備することに他なりません。ただ情報をフォルダに置いているだけでは、AIは正しく読み取れません。データという島に橋をかけていく『コンテキストエンジニアリング』が必要なのです」(富家氏)
さらに、AIに適切な出力をさせるためには、業務手順や専門用語の定義などを明文化した「型」を社内に用意することで、アウトプットの品質が劇的に向上するという実践的なノウハウも共有されました。
続いて富家氏が実例としてスクリーンに映し出したのは、自身が構築した生々しいCRMダッシュボード画面です。日々の商談の文字起こしデータから、リード獲得単価、さらにはマーケティングや営業の実稼働時間を含めた精緻な顧客獲得単価までが一覧化された画面が公開され、会場の視線はスクリーンに釘付けに。現場の「正しいデータ入力」が、正しい経営判断や高精度なAIのアウトプットに直結することが示されました。
富家氏の講義内容を踏まえ、続いて行われたのはテーブルごとのディスカッションです。
ここでは「営業部門がCRMにデータを入力してくれない」「担当者側に入力するインセンティブがない」といった各社共通のリアルな悩みが噴出。名古屋会場からも、「現場へのメリットを明確にし、KPIに組み込むべきではないか」というアイデアが共有されました。
これに対し富家氏は、AIが非構造化データを読み取り、自動で構造化・入力する時代へと変わりつつある現状を語ります。
「音声認識やAIエージェントの活用により、営業が手作業で情報を入力する行為そのものが不要になりつつあります。『商談を録音してAIに任せる』といった新しい入力体験が、自らの仕事を圧倒的に楽にするというインセンティブを訴求することで、現場の行動は変わっていくでしょう」(富家氏)
さらに、参加者からの「稼働コストまで含めた厳密な顧客獲得単価を組織としてどう算出すべきか」という問いにより、議論はAI時代におけるマネジメントのあり方へと深まっていきます。
富家氏は具体的な算出のロジック以上に「組織文化の変革」が重要であると指摘。「元も子もない話ですが、これからの時代はそうしたデータの構造化ができる人が集まる組織が勝ちます。一方で、精緻なCACが見えるようになって最も恩恵を受けるのは経営や事業戦略のレイヤーです。そのデータを使って経営層の意思決定をシャープにし、現場に対するマネジメントの精度を上げるために使うべきなのです」と回答しました。
そのうえで「これからの時代、マネージャーは現場に手を動かして作業をさせるのではなく、AIを有効活用して『自分自身をアップデートする』ことに時間を投資すべき。部下に『学習を促せるか』が重要になります」と続けました。
深く頷きながらメモを取る参加者たち。仕事のモチベーションを、単なる数値目標の達成ではなく、自己実現や他者貢献にどうリンクさせるかという組織論にまで踏み込んだ議論が展開されました。
本会の後半では、シークレットゲストとして損害保険ジャパンの中田典子氏・大出周平氏が登壇。大企業向けデジタルマーケティングの推進における直近の課題や実情について、率直な共有が行われました。
発表で両氏は、代理店を通じた既存の営業プロセスと、直接顧客へアプローチする新たなデジタル施策を融合させていく過程でのリアルな試行錯誤を紹介。
特に、営業担当者が培ってきた顧客リストを活かしつつ、マーケティング部門からのデジタルアプローチに対する社内連携をどう深めていくか。また、発信したコンテンツに対する反響を、いかにコンバージョンという最終成果へ結びつけていくかなど、多くのBtoB企業に共通する切実かつ前向きなテーマが語られました。
これを受けて各社の知見が飛び交う白熱したテーブルディスカッションがスタート。組織全体における合意形成や、スモールサクセスを積み重ねた事例など、実践的なアイデアを交えて共有されました。
さらに、アドバイザリーを務めるパナソニック コネクトの関口昭如氏からは、「情報を受け取る顧客にとっての『価値』と『タイミング』が本当に適切かを、常に顧客視点で考え直すことが大切」と、マーケティングの本質を突く熱いメッセージが送られました。
損害保険ジャパンが紹介した実情をテーマに、各テーブルでは各社の経験に基づく多様な視点からの意見交換が絶え間なく続き、場内の熱気は最高潮に。参加者全員がより良い策を探り、アイデアを持ち寄る「学び合い」が実現しました。
勉強会の最後には、アドバイザリーを務める電通コンサルティングの宮下剛氏が「AI時代において、CRMの目的は変わらずとも、そのアプローチや考え方が大きくパラダイムシフトしていることを再認識しました」と講評。徳田氏は本会を総括し、「次回も、新しく取り入れるべきものと守り育てるべきものの両面で議論していきたい」と今後の展望を述べました。
株式会社電通コンサルティング 宮下剛氏
イベント終了後、シークレットゲストとして登壇した損害保険ジャパンの中田典子氏は「同じBtoBマーケティングに関わる方々と直接意見交換できる場は少ないため、非常にありがたい機会でした」と振り返りました。
また、「大きな営業組織の中でどう価値を届けていくのか、普段聞けないことまで伺うことができ大変勉強になった」とパートナープロップの磐崎氏。
株式会社パートナープロップ 磐崎友玖氏
講義を行ったAiKAGIの富家氏も、「参加される皆さんの熱量が高く、前のめりに聞いていただけた」と手応えを語り、「皆さんに刺激を持ち帰ってもらうという目的は果たせた」と充実感を滲ませました。
また、「皆さん身近な課題として当事者意識を持って意見を出され、議論が活性化して素晴らしい会になった」と徳田氏。
次回の第3回は、パナソニック コネクトの関口氏の登壇に加え、国内スタートアップ企業のピッチ企画なども構想されており、さらなる盛り上がりが期待されます。
会場の熱気を保ったまま、よりフランクで深い情報交換の場である懇親会へと繋がり、第2回「B2Bコネクト」は大きな一体感とともに閉幕。BtoBマーケティングの最前線を切り拓く共創の場として、このコミュニティから日本のBtoBビジネスを力強くアップデートしていきます!